ニッケイ新聞 2009年12月18日付け
腹痛と嘔吐を訴えたバイア州イボチラマの2歳男児の体内に多数の針がある事が発見された事件の一部は、16日付本紙東西南北欄既報だが、16日に、男児に針を差込んだ容疑で、男児の元養父と愛人、黒魔術関係者の3人が逮捕された。
15日以降のサイトや16、17日付伯字紙によれば、13日未明に入院した男児の母親が、「元養父が出かけようと誘う時はいつも、男児の様子が変わり、びくびくしていた」と供述していた事から、元養父の関与が疑われていたもの。
最初に受診したイボチラマの病院でのレントゲンに17本の針が映し出されただけで驚くに足るが、バレイラスの病院でのレントゲンでは、体中に約50本の針が差込まれており、1本は肺に穴を開け、もう1本は心臓を傷つける寸前と判明。
当初は男児が針を飲み込んだ可能性もあげられたが、母親が仕事をしている間、男児の面倒を見ていた母方の祖母は「自分の家には針は1本しかなく、子供達の手の届かない所にしまってある」と供述。針の散布状態からも、この可能性は早い段階で否定された。
一方、14日に警察に出頭した元養父は、15日から行方をくらましていたが、16日に警察に連行され、犯行を自供。犯行を助けたとされる女性2人も逮捕された。
男児の容態は安定しているものの、片肺に穴が開いているため、ドレーン(管)を入れており、重体との見方は17日も変わっていない。集中治療室では点滴栄養で、酸素吸入器こそつけていないが呼吸がやや困難だ。
男児は17日午前中にサルバドールの病院に移り、再検査。専門医により肺と心臓付近の針の除去手術を行うが、2時現在では日程は未定だ。
17日付G1サイトによれば、1993年サンパウロ市では1歳8カ月の子の体内に13本の針が見つかり、1本のみ除去。2000年にはレシフェとサンルイスで、点滴用の針も含め計4件の針発見事件が報告されている。
男児達と1年半同居した元養父が、男児の母親への復讐と愛人との成婚を願って起こしたとされるこの事件。「誰がやったの」と訊いても、泣くだけで答えなかった男児の体と心は大人のエゴで深く傷ついている。