ニッケイ新聞 2009年12月19日付け
ミナス・ジェライス州のアエシオ・ネーヴェス知事は17日、次期大統領選への出馬を断念する意向を表明と18日付けフォーリャ紙が報じた。同知事は3カ月にわたって立候補の可能性を模索したが、所属するPSDB(民主社会党)をたてるため、譲歩が最善であると悟ったようだ。知事も2期務め、残る次の目標は次期大統領であったが、同じ考えのセーラサンパウロ州知事に今回はお鉢を回すことにした。上昇気流に乗っていた同知事の支持率は、与党にも気がかりであった。
ネーヴェス知事の出馬中止でセーラサンパウロ州知事に責任がかかり、3月予定の当大会も延期、選挙戦略に重点を置くことになるようだ。同知事の声明文には、サンパウロ州知事やPT(労働者党)に一言も触れていなかった。
同知事は党強化のため党大会の前倒し開催と公認候補の指名を提案したが、党執行部から無視された。その後、公認指名は選挙前夜でなく、2009年中に指名を提案。それも無視された。この時点で同知事は、出馬を断念したようだ。
同知事の断念宣言は、ゲーラ党首に文書で通知され、ゲーラ党首と党事務局長のカストロ下議との会談後に公表された。
しかし、PSDB密室体質の壁は厚い。慎重冷徹で急がないセーラサンパウロ州知事と即断即決で積極的なネーヴェス知事は、党内で肌が合わなかったようだ。
断念宣言に対する政府の反応は、安堵の一語に尽きるが、全て終わったわけではない。PTはセーラよりも、政治力に優るネーヴェスを恐れていた。セーラなら、ロウセフの対抗馬に組み易しと楽観している。
「ネーヴェスの背後には、セーラにない財界の力がある。セーラには、ハッタリが多い。ネーヴェスは、成長株。支持率調査を分析すると、ネーヴェスは波動がポジチヴで、今後の可能性は測り知れない」とルーラ大統領はいう。
大統領が、ネーヴェスには人を魅了する何かがあるという。セーラは、ロウセフに似て無愛想で求心力を欠くと評した。PSDBの魅力も、セーラではぶち壊しだと酷評した。
大統領側近の見方では、セーラ対ロウセフなら互角だという。ロウセフには、数の力と政府機関があるだけ有利だと見ている。しかし、ネーヴェスの出馬断念の裏に、どんな策略が隠されているかが与党の懸念としている。