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バチスチ問題=最高裁と談合後決定=伊政府の圧力に屈するか?

ニッケイ新聞 2009年12月23日付け

 ルーラ大統領は21日、最高裁との間で疎通を欠いたケーザル・バチスチ容疑者の身柄引渡し問題で、大統領自身が最高裁の最終判決に不満であり、大統領の意向を明白に説明すると表明したことを22日付けエスタード紙が報じた。
 大統領は最高裁と最終判決について話し合い、ブラジル寄留か引渡しかを決定するという。「最高裁が大統領権限に対し、どんな策を講じたかは問題ではない。大統領権限は、最高裁権限とは別次元のものだ」と位置付けした。
 「最高裁は、最高裁の義務を果たしただけの話。それについて大統領は一切の干渉をしない。最終決定は飽くまで大統領の決定で、ブラジルにとって最善と思うことを決断する」と断言。
 ルーラ大統領は、同問題を「人道」という観点から判断するという。大統領は政治運動というものを体験しているので、イタリアで同人がどんな扱いを受けるかは想像できると語った。
 最高裁は16日、大統領をも含めた同容疑者の扱いを決定した。しかし、イタリアのベルルスコーニ首相には再度、同人の身柄引渡しが行われない場合、裁判所へ上訴できる含みを残した。
 同容疑者はイタリアにおいて、殺人罪で終身刑の判決を受けた。
 しかし、現在はブラジリアのパプーダ刑務所に、不法入国で服役中で、ジェンロ法相から政治亡命者として容認され、ブラジル在留を正式に認められた。
 法相の亡命容認の決定後、イタリア政府は同人の身柄引渡しで外交圧力を強めてきた。最高裁の最終判決後は、ルーラ大統領に対し最後通告を送りつけてきた。 
 イタリア政府は同国最高裁命令として、エロス・グロウ判事の「同判決に関する最終決定は、ルーラ大統領の一存にある」とする声明について、刑を執行するのか、しないのかを説明せよと命令。
 イタリア政府の圧力を和らげるため、最高裁は、グロウ判事声明の「大統領の一存」を「伯伊身柄引渡し協定に基づいて、大統領が判断をする」と訂正した。