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国税庁=医療機関に脱税取締り=患者のCPFも報告=虚偽申告ソフトで炙り出す=税収減と不況に備える?

ニッケイ新聞 2009年12月25日付け

 国税庁は23日、医師や病院、保健プランなどの医療関係機関と診断領収書を偽造したと見られる100万件を脱税容疑で検閲と24日付けフォーリャ紙が報じた。脱税防止のための新業務令に基づいた申告は、2010年から2011年2月。申告遅れは月5千レアルの罰金を科し、申告漏れは5%を加算。申告者は差し引いた医療費を証明できない場合、75%の罰金という。前回2008年度の脱税疑惑は36万件であったのに、今回は約3倍増となった。

 国税庁は法人と個人に関わらず医療機関の税務監査を徹底し、診断領収書の偽造を防止するため、新医療業務令を発表した。診断者と受診者の申告が合わないケースが現在、12万件ある。これは全診断の12%に当たり、疑惑対象となる。
 疑惑対象は、医師だけではない。精神科医や歯科医、精密検査院も含まれる。それに受診者も関係する。新業務令は医療関係者が申告したら、受診者の申告も検閲を受けるとなっている。
 検閲はインターネット上で、脱税摘発ソフトによって行う。アクセスのための符丁(セーニャ)を持たない場合、最後の2納税申告番号を通知すれば、折り返し符丁を受信、検閲を確認できる。
 国税庁によれば、医療関係者の75%が法人で、13万企業が登録されている。その他に税法の規定で、個人の医療機関も法人並みの扱いを受けると規定されている。
 新たな業務令では、各医療関係者が治療費を支払った患者のCPF(申告者番号)と金額を明記して、個別に申告することになっている。
 保健プランの場合は、保健契約者の負担額と扶養者の補償額をも明記する。企業の団体プランの場合は、保健プラン企業が被契約者と雇用関係にあれば、個人情報の報告義務は免除という。
 国税庁は、全ての連絡をデジタル方式で行う。脱税取締り包囲網が厳しくなったのは、金融危機により税金が減収したための政府の対策というのが、関係者の見方。
 政府は表向き景気回復や産業復興を吹聴しているが、内実は景気後退と不況対策に執心しているようだ。財務省から国税庁に対し、ごま油のように搾れば搾るほど取れると指令があったようだ。
 国税庁は16日、虚偽申告に対する自動罰則令を公布し、1月1日発効。これは一連の脱税防止令のはしりに過ぎない。税吏の常駐まで行い、死なない程度に納税者を締め付けるようだ。