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ルーラ大統領「核開発はイランの権利」=威嚇から対話の時代=アハマディネジャドは絶賛=中東和平に挑むブラジル外交

ニッケイ新聞 2009年11月25日付け

 ルーラ大統領は23日、イランのアハマディネジャド大統領を迎え、国際社会が懸念する同国の核開発計画を「核の平和利用は同国の権利だ」とする声明を発表と24日付けエスタード紙が報じた。また「パレスチナやイランとの共存共栄を旨としイスラエルの国家主権と安全保障が実現するため、ブラジルは独自の方法で中東和平を仲介する用意がある」とも宣言。23日付けニューヨーク・タイムス紙は、イランの核兵器開発阻止を、ルーラ大統領が妨げていると非難した。

 「中東を制する者は、世界を制する」といわれる中東紛争の解決へ、ルーラ大統領の挑戦が始まったようだ。中東和平に向けたブラジルの外交戦略は、動き出した。
 アハマディネジャド大統領は、イスラエル国家の存在を認め、ホロコースト否定などの問題発言を慎み、ルーラ大統領を「誠の友」と呼んだ。「ルーラ大統領はイランとラテン・アメリカを結ぶ橋であり、ざん言で誤解されるイランのよき理解者だ」と絶賛した。
 ルーラ大統領から同大統領への忠告は、核拡散防止と核兵器削減で国際社会と協調すること。平和を求める国々と共同歩調を採ること。ブラジルが要求する権利は、イランにもあると強調。
 ルーラ大統領は来年4、5月、ブラジルから経済使節団を引き連れてイランを訪問と発表。
 アハマディネジャド大統領は、「核燃料輸出の6カ国が供給を拒むなら、イランは国際原子力委員会(IEIA)が何といおうと、独自に生産する必要がある。イランには核燃料を生産する技術が既にある」という。
 核燃輸出国は、核燃供給に条件をつけてはならない。イランは独立国家であり、いかなる条件にも屈しない。自国の安全保障に核兵器保有で対決する米国やイスラエルの考えは、時代遅れだと同大統領が糾弾した。
 核で威嚇した時代が終わり、いまは対話の時代だと同大統領はいう。米軍またはイスラエル軍がイランの核施設を爆撃する噂があるが、虚仮脅しだという。軍産複合体を儲けさせるための作り話だと、同大統領が述べた。仮想敵をでっち上げた冷戦は、終わった。
 イランには現在、3人の米新聞記者が拘束されており、イラク経由でイランへ入ったスパイ容疑で、イラン裁判所が調べている。各国には、それぞれのルールがある。
 「米国はスパイ国家だから世界中にCIA(中央情報局)のスパイを送り込み、政治工作や撹乱を行なう」と同大統領。同大統領は、各国は、キリスト教やユダヤ教、イスラム教など、国民が好む国づくりを選ぶのではないかとも見ている。