ホーム | 日系社会ニュース | 「リオ五輪のお膳立てに」=日本の交番を技術指導

「リオ五輪のお膳立てに」=日本の交番を技術指導

ニッケイ新聞 2009年11月24日付け

 日本の協力により交番制度を導入したサンパウロ州軍警察に技術指導するため先月末、サンパウロ市入りした長野県警の鈴木博人警部(53)。同州では05年の制度導入後、殺人など凶悪犯罪が激減し、昨年にはリオデジャネイロなど11州も制度を取り入れた。サンパウロ州はモデル地域として11州へのノウハウ伝授の場になっており、鈴木警部は「16年にはリオで五輪が開かれる。交番導入で治安が改善され、晴れ舞台のお膳立てにつながれば」と張り切っている。
 国際協力機構(JICA)は交番制度の定着を目指して日本の現職警官を専門家として派遣。鈴木警部は8代目の専門家として、サンパウロ州内の約270カ所の交番のうち約10カ所を対象に、1日2カ所のペースで指導する。「交番制度の主役は地域住民。まずは信頼を得るのが大事だ」。警官による巡回の実施に加え、ミニコミ紙発行など交番からの情報発信を通じて地域への目配りが行き届いているか、厳しく指導するという。
 交番に住民が来やすいようにと、手芸教室やミニ運動会を開くなど、ブラジル警官も次々とアイデアをひねり出す。鈴木警部は「治安改善へのブラジル側の意欲を感じる。警官としての誇りも高い」と評価、日伯警察交流も着々と実を結んでいるようだ。(サンパウロ共同=名波正晴)