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IPTU増額案を市議会へ上程=170万戸に増税か=9万2千R以下は免税=地下鉄沿線、商店街は増税

ニッケイ新聞 2009年11月19日付け

 【既報関連】ジウベルト・カサビサンパウロ市長(DEM=民主党)は17日、170万戸の不動産に対する固定資産税増額案を市議会へ上程と18日付けフォーリャ紙が報じた。平均調整率21%の同案が原案通り承認されると、一般住宅向け不動産は最高40%、商工業向け不動産、空き地は最高60%の増税となる。サンパウロ市には280万戸の不動産があり、60%が増税の対象となる。また市評価額で9万2千500レアル以下の不動産、約18万4千戸は免税。約8万戸は減税。同固定資産税の調整で市は、今年より7億4千400レアル多い39億レアルの税収となる。

 カサビ市長は税収増を目的としたものではなく、土地や家屋の評価額見直しに伴う調整を行なっただけと釈明した。市議会で承認されると、2010年から発効。免税は、1人1戸に限る。減税は、郊外地域の不動産が対象。
 市は全面的に不動産の評価額見直しを行なったが、市全体の評価額の上昇は、平均31%だという。最後に評価額見直しを行なったのは2001年、マルタ・スプリシ元市長の時代であった。
 不動産投資で、複数の物件を有する人が多数いる。また地下鉄の増設や宅地造成などで地価が広範囲に高騰し、所によっては3倍以上というのもある。
 ブラス区コンコルジア広場付近は、区画整理をしたため、357%も高騰。バロン・デ・ラダーリオ街は、ショッピング・メガポーロの開店で、過疎化から免れ活性化した。バーラ・フンダ区は201%増の再評価をしたため、将来性はあるものの不潔と物騒なことで地元商店街から増税に抗議を受けている。
 今回上程された増額案では、一般家屋には40%、商工業向けには60%という調整上限枠を設けたため、2010年から357%増しの徴税とはならないが、上限を超える分については、2011年以降も続けて調整されることになる。
 市では、今年の税収見込み32億レアルが、来年は39億4千万レアルと、7億4千万レアルの増収を見込んでいる。2011年以降調整予定の家屋は27万6千戸。
 一方、IPTU(固定資産税)が増税されても、家主所得はそれほど増えていない。不動産相場は一般的な経済情勢に比例して変化するが、誰もが経済の波に乗って状況が向上しているわけではない。負け組もいる。
 一国一城の主となるのはよいことだが、所得は不動産評価の上昇率に伴わない。おまけに会社をクビになることもある。所得は、年齢と反比例して減る。地域が発展し不動産評価が上がっても、通勤バスや地下鉄は相変わらず〃鰯の缶詰〃状態だ。