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国際環境会議は実質後退=ブラジルの削減目標決定直後に=米中両国に圧力をとルーラ

ニッケイ新聞 2009年11月18日付け

 12月7日からコペンハーゲンで開催の国際環境会議(COP15:国連気候変動枠組み第15回締約国会議)を前に、ルーラ大統領が、米中両国にも具体的な温暖化効果ガス削減目標設定を呼びかける意向を示した。
 17日付伯字紙によると、世界の温暖化ガス排出量の半分を占める米中両国が15日、COP15での具体的目標提示は無理と見解発表したことを受け、16日のローマでの国連食糧農業機関(FAO)会議出席中の大統領が発言したもの。
 米国の目標設定がCPO15に間に合わないとの判断は議会承認を巡る日程上の問題だが、米国が音頭をとらなければ自国の目標設定はしないという国もあり、デンマーク首相が16日にシンガポールのアジア太平洋経済協力(APEC)国際会議会場まで行き、オバマ大統領と会談後、温暖化ガス削減の具体的目標設置は来年と発表。会議は既に後退した状態だ。
 一方、同会議での目標設定不能との米中の見解発表で両国批判を始めたのは、13日に温暖化ガス削減目標を決めたルーラ大統領やブラジル官僚。
 16日のコペンハーゲンでの環境相会議で発表され喝采を浴びたという同目標は、法定アマゾンの伐採を80%、セラードの伐採を40%削減する事などを柱とするもので、無対策のままでいけば2020年に排出されるであろう温暖化ガスの36・1~38・9%を削減する予定と14日付伯字紙が報道。この数字は、中国が予定する目標値以上と官房長官は自画自賛するが、各国目標は基準年を明らかにしないと比較出来ない。
 一方、ブラジルの目標は、08年8月~09年7月のアマゾン森林伐採量が過去21年で最小である事などが、達成可能との期待を抱かせるが、農牧業やエネルギー生産部門での目標値は融通性と幅を持たせるなど、具体性には欠ける部分も。
 削減値の45%引上げを目指す環境相に対し、官房長官はあくまでも35%前後と主張した目標は、目標見直し命令で、環境破壊者、成長至上主義の批判が出た同長官のイメージ回復と、大停電の責任追及回避のため、20年を基準にし、いかにも大きく見える工夫をしたとの声も出ている。