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中東和平交渉=対話のキッカケ首尾は=イスラエル期待の沈黙=イラン大統領訪伯で第2幕=ルーラ大統領、腕の見せ所

ニッケイ新聞 2009年11月17日付け

 イスラエルのシモン・ペレス大統領は15日、ルーラ大統領を中東和平交渉の仲介人として期待する声明を発表と16日付けグローボ・サイトが報じた。そのためイスラエル政府の要人は、イランのアハマディネジャド大統領訪伯について一切の言及を避けることで合意したという。ペレス大統領は、イランの核開発計画が核兵器開発につながらないよう要請するなら、ルーラ大統領の音頭に国際社会が呼応することになると見ている。

 ブラジルは現在、国際問題の仲介ができる有力な国家として世界から注目されていると、ペレス大統領は強調した。サンパウロ市で開催されたブラジル財界代表の講演会で、ルーラ大統領が時代の寵児として重視されていることは疑う余地がないと、同大統領が述べた。
 同大統領は翌日、ブラジルにおける訪伯の成果状況をイスラエル本国へ連絡。本国の政府要人も中東和平の交渉再開で、イランに関する発言には慎重を期することで合意したという。
 ルーラ大統領からペレス大統領へのメッセージ「ブラジルの外交政策は、ブラジルが決めるので他国から一切の指図を受けない。アハマディネジャド大統領は、世界で唯一人のイスラエル国家を否認する人物である。同大統領にはイランの未来があるが、他のいかなる国の未来について語るべきではない」を再度繰り返し強調した。
 ブラジルではサンパウロ市イジェノポリス区を中心に1500人が、イラン大統領の訪伯に抗議するデモを行なった。ルーラ大統領は、双方が政治と宗教の見解差を乗り越えて対話の席に就かなければ、中東に和平はあり得ないと強く訴えた。
 これまでの和平交渉は、友人クラブでの言い分を一方的に提言したもので、それで問題の結論を出そうとする姿勢を、ルーラ大統領が諌めた。このような和平交渉では、平和にこぎつけることはないという。
 率先してアハマディネジャド大統領を招き、イランの言い分にも耳を傾けようとしたのは、ルーラ大統領の機知といえそうだ。ルーラ大統領は1993年、PT(労働者党)党首としてペレス大統領に会っている。
 1994年にはペレス・アラファト会談で中東和平の原案ができた。しかし、アラファトが死亡したので、さらに詰めの対話が必要になった。中東和平は誰もが望むことであるが、両者を話し合わせるキッカケつくりが難関であったようだ。