ニッケイ新聞 2009年11月10日付け
12月のコペンハーゲンでの国際環境会議の最重要課題は地球温暖化だが、温室効果ガス発生の一端を担い、世界中の有毒ごみの5%を占める電子ごみの扱いも議題の一つとなる予定と9日付エスタード紙が報じた。
日進月歩の電子電気機器業界では、コンピューターや携帯電話、テレビの消費は増える一方。8日付同紙によれば、09年のブラジルでのコンピューター販売は1200万台、携帯電話は4700万台、テレビは900万台と見積もられている。
当然の事だが、これらの機器生産には、原材料加工その他のエネルギー消費などが伴い、温暖化ガスの発生は不可避だ。
04年の国連大学調査によると、17インチのモニター付デスクトップコンピューターを生産するためには、1キロに付き、化石燃料が10キロ、化学薬品類が0・9キロ、水が62・5リットル必要だという。
だから、古いコンピューターの再生利用により、単なる原材料のリサイクルをした場合の5~20倍のエネルギーが節約できるともいうが、古いコンピューターや携帯電話などを適切な処理もしないまま捨てた場合は、金属その他の有毒ごみとも化す。
一方、技術革新と機器普及に伴って増加する電子ごみの回収について、全国的な政策が確定していないのもブラジルだ。
このため、09年7月に条例制定のサンパウロ州や、パラナ州、ミナス州が、販売店やメーカーに対し、古い機器や部品などの電子ごみの回収を義務化。
これを受け、サンパウロ州パウリニアとサルバドールに処理工場を持つ電子ごみ処理業者のOxilでは、08年以降持ち込まれる電子ごみが倍増。VivoやItautec、パナソニックなどの企業回収も年々増加しているがまだ少量で、完全処理できない部品類は、中国や日本、米国、欧州などに輸出、処理している状態だという。
ゴミ捨て場で埋め立てれば90レアル/トンのモニター用ブラウン管も、リサイクル費用は500レアル。回収方法や処理法の確立、経費軽減と処理施設充実など、多くの課題を抱える電子ごみだが、地球との共存のための投資にめざめた企業はまだ少数派の様だ。