ニッケイ新聞 2009年11月10日付け
ベネズエラのチャベス大統領は8日、コロンビアとの国境紛争が武力衝突に発展する可能性があるとして軍と国民に最悪事へ備えよとTV、ラジオで呼びかけたことを9日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。
同大統領によれば、両国間紛争に火を点けたのは米大統領。コロンビアに政治介入し、親米派を対ベネズエラ紛争へたきつける米大統領の魂胆だという。一方、コロンビア政府は、Farc(コロンビア解放前線)とチャベス大統領の癒着関係を訴えた。
米コロンビア軍事同盟により同国の7基地提供は、ベネズエラの石油資源を狙う米国の世界戦略だと、チャベス大統領は見ている。その糸口として両国間に紛争を起し、介入の口実をつくるのが目的だという。
コロンビアのウリベ政権は、米国のかいらい政権だと糾弾。コロンビアと米政府は、これから口裏を合わせて世界を騙すことになると、同大統領が声明を発表した。
両国関係は、米コロンビア軍事同盟の成立とともにベネズエラ政府が国交を凍結した。両国間の年間70億ドルに上る交易も激減した。
緊張の発端はベネズエラ軍兵士2名が国境で殺害され、ベネズエラ軍1万5千人が国境地帯へ出兵。コロンビアも私兵集団が応戦し、双方に犠牲者を出したようだ。
事態悪化を憂慮したコロンビア商工会議所のエウヘニオ・マルランダ会頭が、ルーラ大統領または国連の仲裁を求めた。同会頭によれば、両国の紛争は狂気の沙汰という。他方、ベネズエラ紙によれば、ルーラ大統領が両国首脳にマナウスで話し合おうと呼びかけたと報じている。