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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年11月10日付け

 南太平洋にキリバスという島嶼国家がある。領土は狭く世界で170何番目かだし、人口は10万人と少し。ところが島が多いので排他的経済水域は広く世界3位。ただしー島が環礁のため海水に侵食され沈没の危機にある。日本は島の周りに防波堤を建設し防止策にしようとしているが、アノテ大統領は「国民の他国への移住計画」までを発表している▼それもこれも地球温暖化が原因とされ国際的な取り組みが大切なのだが、これはなかなかに難しい。あのキリマンジェロの山頂一帯にある氷河も溶け出しているし、アメリカの大学の調査では2025年ごろに消滅するのではないかと警告している。これもCO2(二酸化炭素)による温暖化による▼京都議定書のようなCO2放出を規制する動きもあるけれども、石油エネルギーからの脱却をしない限り地球は二酸化炭素で埋まる恐れすらある。勿論、原発や電気自動車の開発も進んでおり、既に販売もしている。この2つはCO2がゼロだし電気自動車は、東京と大阪を約500円の燃料費で走り抜け、ガソリンの5分の1だそうだから真に安い▼佐賀県の玄海3号が日本で初めてのプルサーマルの原子炉を起動し9日に発電を開始したが、これは原発の歴史を飾るものだ。第一にCO2がなく、経費が極めて安い。発電コストは水力や石油火力の半分であり、1キロワット5・3円だそうだ。しかも、玄海3号のプルサーマルのように使用済みウラン燃料を再処理したものであり、これまでの原子炉をそのまま使えるの利点もあるのだから、この玄海3号起動の持つ意味は本当に大きい。 (遯)