ニッケイ新聞 2009年11月5日付け
産業開発省貿易局は3日、ドル安を受けて10月の月間輸入額が127億5400万ドルを記録したと発表したことを4日付けフォーリャ紙が報じた。そのため月間貿易収支黒字は、13億2800万ドルと、1月以後で最少。輸入の増加は、企業需要と経済の回復を示威するもの。輸入品の半分が、原料と化学製品などの中間財であるため、年末向けの在庫と工業生産が好調に稼動していることを物語る。年度末には資本財と消費財の輸入が減り、貿易収支が例年並みになるものと政府は見ている。
企業はドル安を機会に、原料や副原料の輸入に精を出している。そのため一時的現象として、回復の兆しがある米国や中南米向け輸出が少し減る。一方で国内需要の盛り上がりで、企業は応対に忙しいようだ。
貿易収支黒字が1月以来最少という結果はレアル高のため予想されたが、国内市場の活気が輸入に拍車を掛けた。下半期の初期は、クリスマス在庫のために輸入が増加、輸入原料を使った工業生産もフル操業に入っている。
これまで国産部品で間に合わせていた製品も、ドル安なので輸入部品に替えた。企業生産に米国や中南米の景気回復が手伝っているから、化学製品や部品、備品などの輸出が忙しくなる。
ブラジルは10月、米国や中南米地域に回復の感触を得、二次製品の輸出が期待された。この動きは、中国のコモディティ専門の輸入とは異なる。ブラジルは再度、付加価値の見込める工業製品を輸出できそうだ。
但し、国際競争が熾烈なものを除いての話。その場合、ブラジルはレアル高のため不利だからだ。慰めは米経済の回復兆候だが、米国行きの舟は、超満員であるから手放しで喜べない。
一方で国内市場は、雇用回復と所得向上、インフレ鎮静、金利減少と数々の条件が揃った。消費者が金を使いたくて、ムズムズしている。ボーナスをもらったら、憧れの輸入品を買いたいと長い間待っていた。
商店の店先には、輸入品が所狭しと並ぶ。世界的に購買意欲が消沈しているのに、ブラジルだけ景気がよいからだ。スーパーや家電チェーンは、輸入品の売り上げ増に賭けている。
今年のクリスマス用品乾果やワインは、例年に比べて割安になる。昨年2・40レアルしたものは、今年1・70レアルになる。