ニッケイ新聞 2009年10月31日付け
ブラジルトンネル工事委員会(CBT)の報告によれば、国家陸運庁(ANTT)がハルクロウ社に依頼した高速鉄道計画(TAV)の見積りには、トンネルや掘削などの工事の費用に不正確な部分があることが分かったと30日付けエスタード紙などが報じた。
見積りでは直径8メートルよりも2倍の16メートルの方が割安になっているが、相場では逆に大きい方が割高になるという。同様に、柔らかい地盤で掘削するよりも岩盤の方が4%割安になっていることなどを、同委員会は矛盾点として指摘している。
これを作成した同社では、数値はヨーロッパのトンネルやサンパウロ市の地下鉄や環状線の工事のデータに基づいたものだと主張しているが、エリオ・マウロ・フランサ次官は「計算間違いの可能性がある」と認めた。
一方、見積りの地質調査を担当したアンドレ・アシス氏は「この数値は、75日間かけて地盤調査をやり直した結果を反映したもので、既に見積りの数値は訂正されており、政府の許可もえている」と主張した。
同計画では総延長510キロメートルのうち、トンネル部分が約91キロ(18%)、橋や陸橋が108キロで、総予算346億レアルの71%にあたる245億レアルとなる見込みだ。
サンパウロ市役所は市内の駅候補地となっているカンポ・デ・マルテ飛行場案を批判している。同市役所の都市基盤局のセルジオ・サルバドール氏によれば、同案はアニェンビー複合イベント施設の拡張工事の障害となるため、地下鉄バラ・フンダ駅に隣接して建設する方がいいと提案している。
陸運庁では、土地に余裕のあるカンポ・デ・マルテに高速鉄道駅をつくり、諸外国の様にそこまでバスや地下鉄をつなげればいいと考えているとサルバドール氏は説明する。
政府はサンパウロ市~リオ市間の運賃について、エコノミークラス(普通席)は150レアル、ビジネスクラスは200レアルを予定している。