中島工務店(本社・岐阜)の中島紀于代表取締役(69、岐阜)が、29日の日本館60周年と、来年に控える改修工事の打ち合わせのため、26日に来伯した。移民80、90周年、昨年の105周年と節目の年に日本館修復を自費で請け負ってきた同氏は、「これほど立派な数寄屋造りは、日本以外では世界でもほとんどない。大変貴重な日本建築です。このすごさを、より多くの人に理解してもらわなければ」と修復に向けた意気込みを語った。
木材はもちろん瓦、松、石などあらゆる資材が純日本製で、有名建築家の堀口捨己さん(故人)が設計を手がけた。「当時東大教授で、数寄屋造りの代表的な建築家だけ。日本館は彼の代表的な作品の一つであり、価値は高い」と強調した。
「世界を見渡してもこれだけ歴史があり、庭、池に錦鯉まで揃う日本建築は(日本以外では)非常に珍しい。当たり前にように思う人もいるだろうが、地球の反対側においてこの存在は驚異的」と感嘆の声を挙げた。
現在はサンパウロ州の有形重要文化財に登録され、サンパウロ市から委託を受け文協が管理している。同伴した同館運営委員の尾西貞夫顧問、伊藤誠施副委員長など、多くの関係者が維持に奔走してきた。「懸命に管理してきた方々のためにも」と語り、来年5月の大型連休明けから宮大工6人を従え、丸一月の大型改修に臨む予定だ。
「昨年は宮大工1人、シロアリ専門家1人だけで、再開に向け傷んだ柱の根継ぎなど、人目に触れる箇所のみの作業だった。もっと手を入れるべき部分がたくさんある」と意欲を見せた。
移民90周年以来という大作業には、茶室屋根部分の骨組みや、美術室の土台部分などの修復を予定する。建物を持ち上げて作業する工程も含まれ、かなり大掛かりになりそうだ。
また今回は、岐阜県から特別にヒノキ材などが提供され、純日本品で改修工事が行なわれる。それに応えるように「これまで尽力した皆さんに負けないよう、私も100歳まで面倒を見ますよ」と頼もしく語った。
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