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援協=PIPA法人登録へ=新たに活動拠点も設置=菊地副会長「3年後には黒字に」

ニッケイ新聞 2009年10月29日付け

 サンパウロ日伯援護協会(森口イナシオ会長)のサンパウロ自閉症療育学級「青空学級」(PIPA)が、CNPJ(全国法人登録番号)取得に向けて着々と準備を進めている。22日本部で行われた10月定例役員会の中で、日伯友好病院近くの平屋を活動場所として賃貸契約することが承認された。2006年に開校以来、場所の提供を受けていたサンパウロ市日教寺から引越し、独自の活動拠点を持つことで、正式にCNPJ申請するための条件が整うことになる。

 PIPAは、ブラジルで初の生活療法を行う自閉症児療育学級。薬で問題行動を抑えることが世界的に主流で、治療法も確立されていない自閉症。薬に一切頼らず、生活の中で訓練を積み、自力で生活できるようになることを目的とする。
 07年7月から2年間、専門家の三枝たか子JICAシニアボランティアが指導。
 偏食がひどくパニック状態に陥ると手の施しようがない状態だった児童らは、文字が読め、太鼓演奏、一輪車に乗れるなど様々な能力と理性を身につけ、著しい成長を遂げている。
 8月定例役員会の中でPIPAのCNPJ申請が承認されたことを受け、PIPA代表を務める菊地義治副会長は今回、友好病院近くの平屋を活動場所として賃貸することを議案にかけた。独自の活動拠点を持てばCNPJ申請条件が揃うという。
 現在、生徒が5人しかいないPIPAの活動拡大に対し、役員の中から「運営計画はどうなっているのか」「大きな組織として、想像だけで承認しろというのは間違っている」と説明を求める意見も出たが、菊地副会長は「この活動は国のためにもなる大事な事業。今は財政的に赤字だが、3年後には黒字にする」と将来性が高いことをアピールし、拍手多数で承認された。
 月3500レアルの条件で、11月頭に賃貸契約が行われる。
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 ニッケイ新聞の取材に対し菊地副会長は、「10人ほど生徒が集まれば市の支援も受けられる」とし、赤字は解消できる見通しを述べた。
 さらに、「(病院と協力してやっていくことで)将来的に研究機関、指導者の養成拠点にもなるだろう。国だけでなく企業や病院からも注目を浴びる」と話す。
 年末に期限が迫る援協の連邦福祉団体登録に、PIPAの活動が有利に働くとの目論見もあり、そのためには正式な団体としてCNPJを取得する必要があると主張する。
 同登録対策が死活問題なのは、援協全体の資金9割を動かしている友好病院。別府オズワルド院長は、利益の20%を無償事業にまわすか、SUS(統一保健システム)を6割受付けるかの条件をクリアするのは難しく、「どちらにしろ経営は赤字になるだろう」という。
 PIPAの生活療法を評価した上で別府院長は、「市や保健省の自閉症教育支援プログラムを利用しながら、病院がしっかり支援して評価される事業に成長すれば、同時に福祉団体登録の問題も解消されるのでは」と述べ、CNPJ申請へ協力的な姿勢を示している。