ニッケイ新聞 2009年10月28日付け
イランのアハマディネジャド大統領が、11月23日の伯イラン首脳会談で、両国間の人的交流のため査証制度を廃止し、フリーパスとすることを提案するだろうとイランのアリレーザ・サラリ外務次官が「アジェンシア・ブラジル」のインタビューで報告と26日付けG1サイトが報じた。またイランのマヌチェフル・モッタキ外相は、イランとは同じ立場にあるブラジルと平和目的の核開発と技術協力、共同販売の協定について話し合う意向との声明を発表した。
核問題で世界を賑わしているイランとブラジルの首脳会談が迫っていることで、ブラジルに対するイランの外交戦略が少しずつ姿を見せてきた。まず両国はフリーパス制度を導入し、人的交流を容易にするという。
イランのサラリ外務次官は両国の間に同制度が実現するなら、とかく旅行が制限されるイラン人のために、ブラジルは門戸を開く数少ない国の一つとなると述べた。
両国は互いの生産性の向上を求めて、協調体制を敷き、融合に向って外交努力を行っている。イランはブラジルが有する農業の最先端技術を必要としている。その見返りとしてイランは、肥料や化学製品を提供する。
イランが懸念するのは、イスラエルを始めとする各国の否定的反応。これらの国々は、ラテン・アメリカに根付き始めた民主政治を破壊しつつある。その典型的例が、ホンジュラスだと同次官が訴えた。
このグループは、ラテン・アメリカで数々の陰謀や破壊活動を地下で画策し民主主義発展の妨げとなってきた。ブラジルとイランの友好関係にも手を伸ばすことが予想されると同次官はアジェンシア・ブラジルに警告。
一方、モッタキ外相はイランが、広い分野でブラジルと共同で産業開発に挑むことを表明した。
イラン大統領は伯イ両国が、共同歩調で新興国代表として国際的地位を高めることに関心を持っているという。イランはこれまで、外交的に孤立していた。核開発計画では、国際社会から白い目で見られていた。
伯イ両国は、技術的にも同水準にあり、核を平和的に利用することを目指している。それを世界に理解してもらう必要があると同外相は述べた。石油によるエネルギーの代替として核エネルギーが見直される今、核の有効利用が急がれていると訴えた。
ルーラ大統領は、ニューヨークでアハマディネジャド大統領と会い、意気投合した。ブラジルは、IAEA(国際原子力機関)の核濃縮設備査察を拒んだ。それで米政府が、ブラジルに対し厳しい査察を要求した経緯がある。