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中央銀行=ドル安は派生で勝負=レアル増刷で外貨買上げ

ニッケイ新聞 2009年10月28日付け

 中央銀行は26日、外資流入を抑制するはずのIOF(金融税)2%は、投資家にとって痛くも痒くもないらしいと評したことを27日付けエスタード紙が報じた。
 中銀は、為替市場に混乱を引き起こす流入ドルを一まとめにして、為替派生取引へ投入している。同案を進言したのは、コウチニョBNDES(社会開発銀行)総裁や元財務省次官らだ。
 これは為替先物で、ドルが下がれば買う。上がれば売るのだが、レアルが上がらないように操作する。介入は、市場の動きを抑制するのが狙い。為替市場の乱高下を抑えるには、有効な方法と考えられている。
 金融危機の最中や直後も中銀は、為替派生市場で為替操作を行なった。この方法は、相場の激変やレアル高騰抑圧、底値保守のためによく使われる手段とされる。
 これからの通貨政策とインフレ対策は、これまでとは違う。インフレ上昇を防ぐのではなく、為替変動を防ぐのが目的になるといえそうだ。インフレか為替のどちらを調節するのかは、目的をハッキリさせないと判断が難しい。
 インフレは国内市場を観察して判断したのに対し、為替は国際市場を走りまわる外貨が相手で、外貨の為替率など殆ど予測困難だ。外貨は隣の泥棒猫のように、内の台所にある何を狙っているのか分からないから。
 外貨購入のために発行したレアルは、国債を発行して流通量を調整。国債発行によりレアルは中銀に回収され、インフレを防ぐという仕組みだ。為替対策は、今のところこの方法しかない。
 為替前線では中銀が、この手で戦う。しかし、為替対策とインフレ対策を同時に実行するのは、百戦錬磨の中銀でもできない。中銀が白兵戦を展開している間に、国内産業は早く国際競争力を養い、足腰を鍛え、泣きごとをいわないことだ。

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