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青森県人会55周年式典=斉藤空軍大将も駆けつけ=蝦名副知事が民謡披露=改修費に母県から1250万

ニッケイ新聞 2009年10月28日付け

 在ブラジル青森県人会(玉城道子会長)は創立55周年を祝して、サンパウロ市の会館で記念祝賀式典を開催した。日本から蝦名武副知事、田中順造県議会議長、塩越隆雄・同県国際交流協会長ら訪問団11人や津軽弁川柳作家の渋谷伯龍さんがはるばる駆けつけ、約100人の県人らと共に盛大に祝い、県と県人会の絆をさらに深め合った。また、父親が平川市(旧平賀町大坊)出身の斉藤準一ブラジル空軍総司令官も家族と訪れ、先人に感謝と敬意を示した。

 当初は、「55周年記念事業として会館改修を進め、内輪だけで静かに祝う予定だった」(玉城会長)が、会が進める会館改修工事に母県関係者が理解を示し、応援と移民の労苦を労うために訪問団を結成、式典へと参加することになった。
 戦後移住者の指導・援助と県人の親睦などを目的に39人の発起人で始まった同会。玉城会長は「県の方々の快い協力を得て改修をはじめることができた」と感謝し、「互いに支えあい迎えられた55周年。これからも皆様のために頑張っていきたい」と力を込め、拍手が沸き起こった。
 蝦名副知事は、県人移民を労い、「将来を担う人づくりに、ブラジルに大いに学ぶべきところある」と三村申吾知事の祝辞を代読した。
 斉藤大将は、「日本人移民の子孫がこうして活躍しているのは、教育の機会を与えてくれた両親はじめ先人たちのおかげ」と感謝を示し、55周年を迎え誇りに思うと言葉を送った。
 続いて創立会員の鳴海忠夫さん(85)と長内藤男さん(89)、在リオ青森県人会(15家族)の斉藤光幹事、最高齢会員の102歳の畑井健二さんに表彰状が手渡された。
 杖を持たず元気な姿を見せた畑井さん。30歳で妻と長男を連れ移住、大工として働きながら子供7人を育てた。笑顔を振りまきながら表彰状を受け取り、両手を空中に突き上げて喜びのポーズ。会場を和ませた。
 この日は、畑井さんのひ孫岩田トーマス寿くんが孫夫婦に連れられて参加。年齢差はちょうど100歳だ。畑井さんは、嬉しそうにトーマス君を見つめながら、「今じゃ来てよかったなぁって思うよ」と移民人生を振り返った。
 なお式典の中で、会館改修工事費として県から補助金500万円、県議会から30万円、交流協会が呼びかけて集まった720万円の目録が玉城会長らに手渡され、県人会からは感謝状と記念品が贈呈された。
 式典後は、乾杯とケーキカット。シュハスコと会員手製の食事を囲んで、賑やかに親睦の時を持った。
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 祝賀会の後もプログラムが続き、NHK青森「お国ことばで川柳」で選者をつとめる方言川柳作家、渋谷伯龍さんの講演「楽しいふる里ことば」で、楽し懐かしい津軽弁の講義に、笑いの渦が巻き起こった。
 続いて蝦名副知事が立ち上がり、「めぐせえ(はずかしい)」と笑わせつつ、津軽民謡を披露。仁王立ちで力強い美声を響かせて拍手大喝采を浴びた。最後に全員で青森県民の歌を合唱して閉会した。
 初来伯した蝦名副知事は、「助け合いながら生きている姿に昔の良き日本を感じた。三世、四世と続いて欲しい」と述べ、研修制度に対し「大事なこと。これからも続け、様々な交流をしていきたい」と語った。