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国内産業が国外移転へ=通貨高で機運高まる=脱工業化へ向うブラジル=密輸取締りの前に改革を

ニッケイ新聞 2009年10月27日付け

 工作機械製造協会(Abimaq)は24日、政府の為替政策不備を理由に国産企業の国外移転機運が高まっていることを明らかにしたと25日付けフォーリャ紙が報じた。レアル高の影響を顕著に受けたのは、政府が最も投資促進に努めた工作機械。続いて煙草、玩具、製靴、衣料、電子電子製品、自動車など。国内産業の脱工業化に拍車を掛けているのは、半変動制為替で有利な中国製品だ。多くのメーカーは生産を中止、輸入品の配給元となっている。

 為替政策とは、国産品が輸入品と競合可能な条件、税制やインフラ、金利、ローンなどの見直しを行なうこと。陸路国境から怒涛のように押し寄せる密輸入品も、厳しく取り締まること。
 これまで部品や原料、副原料を輸入し、国内で組み立てていたメーカーは、完成品で輸入販売を行ったほうが有利だという。製作に高度の技術を要する機器は、簡単に輸入とか国外移転といえない微妙な立場にある。
 自動車は国内市場が好調なことで、9月の国産車の販売は昨年同期比で13・5%増に対し輸入車が23・6%増という勢いだ。産業のシンボルといわれる自動車は、簡単に国外移転といえない複雑な分野だ。
 為替政策の一環で外資流入に課税したが、業界は気休めだとして画期的効果は期待できないという。また金融危機後、さえない国際市場の中で潜在需要の大きいブラジルは、米国に次ぐ魅力的な大市場らしい。
 国境を接する隣国とは行政不備のために、ブラジルは不利な立場に置かれている。メルコスルは、まだ自由貿易の経済特区が設立されていない。そのため隣国の製品が無税で入ってくる。
 最も不利なのは、玩具だ。玩具の密輸入では、国外から無税で入る製品と国産品の価格差が、30%とされる。ブラジルの隣接国とは密輸を取り締まる前に、税率差を調整する必要がある。
 煙草の場合は、さらに改善の余地がある。密輸煙草は、国内市場の30%を占めている。これが国産品を消費するなら、1万9千人を雇用できることになる。
 ブラジルにとって為替対策とは、コスト削減の努力をすることである。パソコンの減税を行なったため、密輸73%が34%に激減。パソコン関係の雇用も増えた。それでもパソコンの密輸部品は、正規の部品より25%安いのが現状。