ニッケイ新聞 2009年10月24日付け
ルーラ大統領が「ブラジルでは、キリストでさえもユダを呼んで連立関係を組む」と発言したことでCNBB(全伯司牧協会)のドン・ジマス・バルボーザ事務総長は22日、「キリストはパリサイ派(偽善者)やサドカイ派(日和見主義者)と連立を組むことはない」と声明を発表したことを23日付けエスタード紙が報じた。
キリストが蛇やさそりのように嫌ったのは、いうことと思うことが異なる人々とされている。従ってこのような表現は、宗教に対する冒涜と理解した。同総長は間接的に、PMDB(民主運動党)を批評したらしい。
政治家は次のように反応した。ロナウド・カイアード下議(DEM=民主党)は、「ルーラは連立党のPP(進歩党)やPR(共和党)、PTB(ブラジル労働党)、PMDBのことを、ユダのような輩と思っている」とコメントした。
クリストバン・ブアルケ上議(PDT=労働党)は、大統領は連立を組めば、キリストが裏切り者も許すと聖書を理解しているらしいと皮肉った。ヴィルジリオ上議(PSDB=民主社会党)は、大統領発言を連立党に対する最大の侮辱と理解したという。
ルーラ大統領の「キリストの連立根回し」発言の直後、CNBB関係者は議会で審議中の「国会議員の犯罪経歴」について、灰色議員の立候補阻止運動を展開する計画を打ち出した。
教会に対する間違った偏見が社会に風潮しつつあるのを機会に、議員の犯罪を俎上に上げる運動が教会内に盛り上がっているようだ。公選議員として国の政治を仕切るものに、最低限度の倫理感を求めるという。
同事務総長は、倫理不在の政治政策の段階で貧困層は完全に無視され、審議の対象から外された存在であることを憂慮すると声明を発表。教会の政治闘争は、貧困層救済のために続くという。