ニッケイ新聞 2009年10月22日付け
最高裁のメンデス長官は20日、ルーラ大統領とロウセフ官房長官一行のサンフランシスコ河疎水工事視察が選挙法に抵触しないか審理するよう進言と21日付けエスタード紙が報じた。
同長官の目には大統領選を意識した遊説旅行で、選挙法に規定された違法行為だという。政府も直ちに反応し、ガルシア大統領顧問は、文書で意思表示をするよう要求した。ジェンロ法相も、法の範囲だと弁明。
メンデス長官によれば、今回の視察旅行は常識の範囲を逸しており、司法関係者はこのような「何でもあれ」的行動を防ぐために存在しているという。視察そのものは職務でも、本来の趣旨から逸脱した演出過多で、政治目的に利用していることが見えすいていると大統領を批判した。
工事進行の視察と選挙運動の相違を基準化することを、最高裁は選挙裁判所へ提言。視察と称して工事と無関係な者を招待したことや、マスコミの取材内容歪曲、抽選、記念品贈呈、ショーの開催、芸能人招待が工事視察の内に入るかを検討。
視察する工事現場には、必ず演説をする番台が設けられる。工事と関係のない地元の有志多数が招かれ、明白に選挙を意識した演説が行なわれる。演説内容にも「大統領選」という言葉がひんぱんに出てくる。
ブラジルに長い民主政治の歴史はあるが、政治活動と選挙運動の区別を体得することはないようだ。政治活動即選挙運動で、はばからない。
ガルシア顧問は「大統領が地方へ顔を出せば、市民に歓迎され自動的に支援が集まる。それが選挙運動に入るのか」と開き直った。最高裁長官の立場にある者はコメント発言を避け、文書という形を採るべきだという。