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投機外資流入にIOF2%=長短期に一律課税=金融市場への影響懸念も=人為的為替操作は効果薄

ニッケイ新聞 2009年10月21日付け

 【既報関連】政府は19日、生産に供される直接投資(IED)を除く、確定利付きまたは出来高などの金融取引に使われる外資の参入に対し、長期と短期にかかわらず一律2%のIOF(金融税)を課す暫定令を制定と20日付けエスタード紙が報じた。ドル通貨に対するレアル通貨の高騰を抑え、税収減を補うため発効は20日からとされる。市場関係者は、外資課税によるブラジル経済への効果は僅かで、金融市場に不利な結果を招くと見ている。

 同令は中銀の頭上を通過、草案作成にメイレーレス総裁は蚊帳の外に置かれ、事後承諾となった。政府の外資課税は苦肉の策であるが、市場関係者は一時的な気休めに過ぎないと見ている。
 国際市場には、膨大な資金が彷徨している。最も魅力的な投資先とされるブラジルに外資の津波が押し寄せ、経済を狂わせる恐れさえある。
 ドル安で格安の輸入品に対抗して国産品を保護し、雇用を確保するというのが政府の考えだ。輸出の停滞は、雇用市場に暗雲を投げかけている。ブラジルは為替変動制を採っているが、工業水準はまだそのレベルに至っていなかったのか。
 経済評論家のミング氏は、外資課税を通行料金だとして次のように評価した。為替の流れを変えるため、野放図な外資に枷をはめる必要があったが、外資課税は長短の結果をもたらすという。
 財務相は、投機資金の抑制に、一度は廃止したIOFを復活させた。前回は昨年3月、国債を購入する外資に1・5%を課税。しかし、為替の流れ変更に効果のないことを知っていたはず。
 今回は、さらに高率の2%だ。為替に策を講じれば、資本市場への影響は避けられない。ブラジル企業の株は、サンパウロ市よりもニューヨークでより多く取引されている。
 結果として株取引に、二つの影響が出る。一つ目は、サンパウロ市で行なわれた株取引の国外移動。二つ目は、国外での株取引が大企業の株(ADR)に限られるので、中小企業株が相手にされない。
 財務相は投機資金の抑制というが、多分に誤解される。投機資金がブラジルから油揚げを浚う鳶にしても、レアル高を促すのは流入時だけだ。流出時には、その反対の現象が起きる。
 人為的に策を講じても効果は僅かなもの。外資を冷淡に迎えるよりは、五輪やW杯、PAC、岩塩層下開発に投資したらどうなのか。同日付けG1サイトによれば、国際通貨基金(IMF)西半球担当ディレクターも、他国での適用例を考えるとIOF課税には弊害もあり、時間と共に効力を失うと警告している。