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債務決済の預金封鎖増=IT方式で即時凍結=特に労働裁の労使係争=経営者の資産隠蔽に断

ニッケイ新聞 2009年10月20日付け

 中央銀行は18日、裁判所がインターネットを通じて訴訟中の債務を決済させるための銀行預金封鎖が過去4年激増と明らかにしたことを19日付けフォーリャ紙が報じた。預金封鎖は、総額で472億レアル。預金封鎖は、特に給料遅配など、労働争議に関わる係争中の企業や召喚されても誠意を示さない企業などが対象になっている。中銀は差し押さえオンラインを設け、裁判所の要請を受けながら48時間以内に預金封鎖や情報提供を行なう。

 預金封鎖額は2005年、1億9600万レアルに過ぎなかった。それが、06年60億1000万レアル。07年135億9000万レアル。08年177億レアル。09年9月で97億レアルと急増した。
 労働裁判所が一方的に債務の決済保証に預金封鎖を行なうことで、企業経営者や顧問弁護士は、企業を作為的に倒産へ追い込むとして抗議した。裁判官らは、IT方式の導入を歓迎している。
 同方式は、溺れる犬を叩いて溺死させると企業側。あるとき払いの催促なし方式に止めを刺すものと裁判所側。2008年までのIT方式による銀行の預金封鎖では労働裁判所がトップ。
 労働裁に倣ってサンパウロ州裁判所や地裁も、IT方式の導入を始めた。サンパウロ州議会はIT方式と従来の書類方式の選択を裁判所に一任という。IT方式は、待ったなしで即時伝達。書類方式なら手続きで時間稼ぎができる。
 法制審議会(CNJ)は昨年、預金封鎖を行った全裁判官に報告書の提出を求めた。裁判官にしてみれば、IT方式による預金封鎖は司法制度の革命だという。書類方式の預金封鎖では、裁判所の手が回る前に債務者は預金を引き出してしまう。
 差し押さえオンラインは、従来の踏み倒しや給料遅配の泣き寝入りに終止符を打つためのものだ。しかし、給料の配布がいくら遅れようと、経営者が開き直れば空馬と同じ。差し押さえる資産は既に隠蔽済みが通弊。
 差し押さえ対象は、預金を始め不動産や車両。計画的な犯罪者は、預金しない。現金で貸し金庫に隠す。車両は他人名義にする。残るは不動産だが、内容は複雑多岐。
 DEM(民主党)は、最高裁に対し差し押さえオンラインの合法性審理を要請した。検察庁のソウザ検事総長は原則を書類方式とし、IT方式は計画的踏み倒しの兆候が見られる場合の最終手段にすべきとしている。