ホーム | 日系社会ニュース | リベルダーデ=日系のお菓子屋さん誕生=「SEGREDO・DOS・DOCES」=人材派遣業からの転身=蛯原、柳屋さん「気軽に寄って」

リベルダーデ=日系のお菓子屋さん誕生=「SEGREDO・DOS・DOCES」=人材派遣業からの転身=蛯原、柳屋さん「気軽に寄って」

ニッケイ新聞 2009年10月17日付け

 サンパウロ市リベルダーデ区に蛯原忠智さん(二世、33)と柳屋守さん(42、長崎県生まれ)が営む駄菓子屋「SEGREDO・DOS・DOCES」(Rua da Gloria, 68)が新しく誕生した。明るく清潔な雰囲気の店には約5千種のお菓子が揃う。以前は人材派遣業を営んでいた二人。近年、日系店が続々と減っているリベルダーデでの開店にこだわった。〃華麗〃なる転身のいきさつを聞いた。

 オープンして1カ月、昼頃と夕方は、近くの裁判所勤めのブラジル人らが押し寄せ大忙しのよう。店は順調にスタートしたことをうかがわせるが、二人とも以前は全く違う商売をしていた。
 7年間、リベルダーデにある父親の人材派遣業を手伝っていた蛯原さん。昨年からの不況で仕事が激減。同じく、人材派遣業社を経営していた柳屋さんと「1年間、あれこれ考えて」駄菓子屋への転職を決意した。
 柳屋さんは、11年間で月に平均30人を日本へ送り出していた。「今の日本でのデカセギの状況を聞いてると、とてもじゃないけど続けられない。半年前にフェッシャしました」。
 蛯原さんは、「妹がサンパウロ市内で『ガイジン・ドーセ』っていう菓子屋をやって4年目。うまくいってるから、これだって思って」と、全く違う世界に飛び込むことを決めた。
 125平米ある店内は明るく清潔で、お菓子好きならふと足を踏み入れてしまうような雰囲気だ。5千種類と豊富な品揃えで、値段も分かりやすく表記してある。
 「お客さまに満足してもらいたい」と二人。日本人らしい細やかなサービスが感じられる。
 リベルダーデを選んだ理由を「僕たち馴染みの街だから」と話し、「中国・韓国人の店が多くなってきて、日本人の商店は数えられるくらいしかなくなってきてるけどね。ずっと住んできたし全部知ってるから、ここで開くのは自然だった」と続ける。
 「昔から、日本人は商売が下手と言われるけど、もちろん僕たちもそう。まだまだ」謙遜しながらも、「1年以内にもう1店増やしたい」と意欲を燃やす蛯原さん。
 「じいちゃんたちは食べ物を大事にしてきたからか、小さい頃、お菓子は買ってくれなかったよなぁ」と二人は顔を見合わせて笑いながら、「お菓子を買うときは気軽に寄ってください」と笑顔を見せた。