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環境閣僚会議に亀裂=官房長官は経済発展優先

ニッケイ新聞 2009年10月15日付け

 ロウセフ官房長官は13日、12月にコペンハーゲンで開催される国連環境会議へ提出するブラジル案を「経済発展を優先し、環境問題を別格扱い」とする意向を表明と14日付けエスタード紙が報じた。ルーラ大統領を囲む環境閣僚会議は13日、国際間の環境規制と一線を画す微妙な差を打ち出した。
 ミンク環境相が2020年までに法定アマゾンの森林伐採を80%縮小し、二酸化炭素(CO2)排出量を2005年の水準に凍結する案を主張した。それに対し官房長官は、環境相提示の経済成長率を上回る産業発展を要求。
 環境省案は、経済成長率を4%とした。官房長官は6%を提示し、CO2の見直しを求めた。閣僚会議は、意見の相違が判然とした。
 レゼンデ科学技術相が、地球温暖化防止への協力はやぶさかでないが、構想は現実的であるべきだと主張。人類への貢献は世界各国の協力で行なうもので、ブラジルの経済発展を犠牲にすることに疑問を呈した。
 環境省案はブラジルの経済発展に関する部分が不透明で、国際社会が環境基金として拠出するという100億ドルも、余りに少ないと科学技術相が不満を述べた。
 環境閣僚会議は14日も続き、20日までに国際会議への提案書を一本化してルーラ大統領に提出する予定だ。一方、大統領はアモリン外相にアマゾン地域諸国召集を要請。国連環境会議では共同歩調でのぞむ考えだ。
 環境に関する閣僚の意見差は国際会議でも同様だ。工業先進国は、自国の経済成長が停滞し、失業につながるとの危惧から、国毎の温暖化ガス削減目標設定に消極的だ。
 米国などの先進国は、BRICsなどの新興国への削減目標値が低く、経済発展に専心できることが不満。一方、現在の温暖化は先進国が招いたと考える新興国は、共通の削減目標設定に反対で、先進国こそが気候変動問題解決への投資責任を負うべきだと考えている。
 しかし、バンコックで行なわれた国連環境準備会議では、京都議定書後の温暖化ガス削減目標について、全世界共通の目標設定案が出、途上国連合のG77は、一斉に同案を拒絶した。