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ホンジュラス=OAS仲介で直接交渉へ=復職巡る対立解けず=臨時政権の壁意外に厚く=制憲議会招集に断を求む

ニッケイ新聞 2009年10月9日付け

 ホンジュラスのセラヤ大統領側とミチェレッティ臨時大統領側代表団が7日、OAS(米州機構)の仲介で協議を再開と8日付けエスタード紙が報じた。両陣営が直接交渉の席につくのは、セラヤ大統領が密かに帰国してから初めてとなる。OAS加盟国の外相らでつくる代表団は7日、セラヤ大統領の復職をめぐって対立し、臨時政権の厚い壁に直面した。ミチェレッティ臨時大統領は「私が障害なら退くが、セラヤ氏も退き第三者に引き継ぐことを求める」とした。

 コスタリカのアリアス大統領調停案の実施を建前とするOAS代表団を迎えて、臨時大統領は挑戦的な態度で臨んだ。セラヤ大統領は数々の条件付き復職に合意したが、臨時大統領はそれを頑なに拒否した。
 臨時政権が主張する大統領の憲法違反に対して、セラヤ氏は大統領特権を含む特赦の延長解釈を求め、一般犯罪の適用を拒んだ。しかし、臨時政権側は大統領の犯罪は議会と最高裁が裁くことで、行政府ではないとかわした。
 OASは要求を3点に絞った。1点目は、国民の合意による政権樹立。2点目は、セラヤ氏が混乱の端緒となった制憲議会招集を諦めること。3点目が、協定順守のための国際監視団の設置。
 協議の席上、シャノン米国務次官から臨時大統領へ次のような通告があった。ホンジュラスの新政権が国際社会から認証され正常化するため、民主的な制度のもとで、公正明大な選挙を実施する必要があると。
 ミチェレッティ臨時大統領が強調する「セラヤ追放は合憲的措置であり、クーデターではない」とする詭弁は認めないとルイ・カザエス伯OAS大使が糾弾した。ブラジルでもコーロル元大統領は、憲法上の権利がありながら、議会から弾劾された例がある。
 OAS代表団が臨時政権に要求することは、セラヤ氏を伯大使館から解放し、自邸へ帰らせること。セラヤ氏の身柄拘束と追放は、OAS協定違反という。セラヤ氏の身辺警護名目によって臨時政権が軟禁状態にする危険性もあるので、言質を取るとしている。
 テグシガルパの伯大使館は、軒下を貸して母屋を取られた。大使館の文書室を残して、セラヤ氏側近50人と新聞記者10人が占拠。大使館前は毎日、治安部隊とセラヤ派デモ隊の衝突が繰り返されている。不便なのは派手な政治活動を禁じられ、要人の応対ができないことだ。