ニッケイ新聞 2009年10月8日付け
W杯サッカーとオリンピックのダブル特需を迎え、ブラジル消費市場の過熱が予想されるため、フォーカス調査は6日、インフレ再燃の可能性を示唆したことを7日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。インフレは経済発展の申し子か、サラリーマンの敵か。IPCA(消費者物価指数)は、09年の4・3%から10年は4・4%へ上方修正をした。市場関係者は、到来しつつある消費ブームに備えてメーカーが画期的な投資に踏み切るよう呼びかけている。
インフレが、消費市場の周囲をウロウロしている。国内消費市場の活気がインフレの兆候を見せたことを中央銀行のフォーカス調査が5日、明らかにした。
それで黄信号が灯ったのだ。物価の動きは、メーカーが有する生産設備の生産能力に左右される。生産が需要に追いつかないと、物価は高騰する。インフレは、経済に影響を及ぼすもの。
例えば、サンパウロ州の燃料用アルコールは過去3週間で30%も高騰。リットル当たり1・09レアルから1・40レアルへの値上がりは、物価指数を押し上げる。しかし、悪いことばかりではない。
2014年のW杯と2016年のオリンピックは、好景気の風をもたらしブラジル経済を引き立てる。メーカーが長期計画を立てて投資をしないと、この好況の波に乗り損ね、インフレを引き起こすだけに留まる。
現時点では、最終消費者価格や卸売り価格に大きな変動はなく、09年のインフレは目標値内に収まりそうだ。またメーカーも、在庫と需要を見ながら生産能力を調整している。抑制管理ができないのは、政府だけだ。
政府歳入は、金融危機に対処するため導入した反サイクル方式で、大幅税収減となった。ここで歳入を上回る歳出に政府が走るなら、需要を呼び確実にインフレを招く。
しかし、政府が不況対策で採った自動車や生活家電のIPI(工業税)減税対策は終了しつつあるから、インフレを招くほどの不均衡は起こらないと見られている。
W杯とオリンピック特需に備えて、物価抑制とサービス料金の高騰防止に政府は努める方針。例えば、2010年の燃料や医薬品などの統制価格調整率は09年の4・3%から3・35%へ引き下げられる見込みだ。
本格的なインフレ到来が心配なのは、2011年以降。中銀は2010年第3四半期、基本金利を調整するものと予想される。