ニッケイ新聞 2009年10月6日付け
東京・上野にある東叡山寛永寺の開山は徳川家康の参謀として活躍した天海大僧正であり、96歳の長寿を保ちーいや135歳で遷化の大往生だったの異説もある。家康の遺体を久能山から日光山に改葬し「東照大権現」と祀ったのも天海であり、秀忠,家光からの帰依も厚く長生きの秘訣を問われると「時折、ご下風(屁)あそばさるべし」と答えたそうだ▼昔のお年寄りは、こんな話をよく知っていて子どもらに話して呉れたものである。あれから数十年近く過ぎたのに今でも、老人の話し声が耳朶に染み込んでいる。あの当時は還暦を迎える頃になると、もう「ご老人」になり孫の手を引いて飴玉をやりながら余生を楽しむのが普通であった。それがなんと日本は世界一の長寿大国になり、霞ヶ関のお役人も定年を65歳に引き上げるとかの議論もある▼ここサンパウロにも日本から100歳超の「老青年」がやってきて演壇に立ち「70や80歳は子ども」と意気軒昂なのである。確かにー列島には高齢者が多い。さる9月15日は日本の「敬老の日」だったが、この日に100歳以上の人が4万399人になった。なんでも39年連続の増加であり男女とも過去最高だそうな。こんな喜ばしいことはない▼医学の進歩もあるだろうが、第一は朝昼晩のご飯が美味になり栄養がきちんと取れるようになったのが大きい。ここブラシルでも総領事館の「白寿表彰」があり、表彰される人が増えているのも食と医の力が手助けしている。さる1日には元気なお爺さん,おばあさんが集まって「老人週間」を祝ったが、これも40回目が嬉しい。 (遯)