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高拓生も参加してマナウス式典=アマゾン移住80周祝う=「日系の誇りと伝統を」

“ニッケイ新聞 2009年9月24日付け

 【マナウス発=松田正生記者】トメアスー、ベレンに続き、20日午前、アマゾナス州マナウス市の西部アマゾン日伯協会で日本人アマゾン移住80周年式典(委員長=錦戸健西部アマゾン日伯協会会長)が開かれた。戦前のジュート栽培に代表される農業貢献と戦中の苦難、戦後の各移住地の困難と発展を経て現在の繁栄を築いてきたアマゾン日系社会。当日は国内外の各地から約500人が集い、先人を偲び、さらなる躍進へ思いを新たにした。

 式典当日はサンパウロ市からの慶祝団を含み、マナウスなど各地から約500人が参集。日ブラジル会議員連盟の井上信治衆議、今村忠雄・日本海外協会会長、島内憲大使、柴﨑二郎マナウス総領事など日本側関係者、ブラジル側からは州知事代理のマリレーネ・コレア・アマゾナス州立大学学長などが来賓として訪れた。日本の十一都道府県、神戸日伯協会や海外日系人協会からも祝電が寄せられた。
 日伯両国歌斉唱に続いてあいさつに立った錦戸実行委員長は、「不屈の大和魂によって開拓に挑んだ日本移民は、ジュート栽培によってアマゾンの経済復興に多大な貢献をし、勤勉で誠実な日本人の拓魂を示した」と先人の功績を称えた。
 さらに戦中のビラ・アマゾニアの没収とその後の苦労、戦後のアマゾン移住の歴史、そして自由貿易港設置後の日本企業進出に触れ、「先輩の実績と日本政府の支援、ブラジル政府の日系人への信用が3脚となってゆるぎない日系社会がアマゾン、ブラジル全国に存在している」と述べ、「現在の礎を築いた先輩の志を継いで日伯友好の絆を強めることが私たちの使命」と結んだ。
 島内大使が皇太子さまの祝辞を、井上議員が麻生太郎日ブラジル会議員連盟会長の祝辞を代読。続いて海老井悦子福岡県副知事が麻生渡知事(全国知事会会長)の祝辞を代読した。麻生知事は先駆移住者へ敬意を表すとともに、現地日系社会を「日伯、アマゾンとそれぞれの出身地との理解と友好にとってかけがえのない存在」と位置づけ、「日系人の誇りと伝統を若い世代に伝えてほしい」とメッセージを送った。
 コレア学長は、政治経済、文化や現在の日伯関係に対する日本移民、日系社会の功績を称え、「困難を克服してブラジル、アマゾニア州のため貢献した日本人の献身と業績に感謝する」と述べた。
 その後は、州知事として道路整備など日本人移住地の発展に尽力した故ジルベルト・メストリーニョ上議を祭典委員会が顕彰。名誉委員長の島内大使から代理に記念プレートが授与された。
 続いて祭典委員会から80歳以上の高齢者11人を表彰。外務大臣表彰も行われ、アサヒ自治会(橋本博美会長)、エ・サーレス自治会(宮本倫克会長)がそれぞれ表彰状を受け取った。
 式典終了後は参加者が集まって記念撮影。その後市内の開拓先没者慰霊碑へ移動し、参加者らが献花した。
 「自分たちも苦労したけど、古い人たちはもっと苦労したと思います」と話すのは、ベラ・ビスタから訪れた野地忠雄さん(69)。故メストリーニョ知事が同地を視察後、道路を整備した思い出を語り、同氏が顕彰を受けたことを喜ぶ。
 高拓生7期生として渡伯、式典で高齢者表彰を受けた東海林善之進さん(94、宮城)は、「ジュートがあったから、私たちは今こうしていられる。気の毒なのは、早く亡くなった友人たち。一度も訪日できない人もたくさんいましたから」と話した。