ニッケイ新聞 2009年9月18日付け
清掃費の二〇%削減で不評を買ったサンパウロ市のカサビ市長が、今度は保育所の給食回数削減を決め、物議を醸し出している。
十七日伯字紙によれば、全日保育の〇~三歳児に、朝、昼、夕の三食と、午前と午後のおやつを提供していたサンパウロ市立保育所の給食を、二十一日から四食に減らすよう、外注業者八社と契約改定したという。
また、エスタード紙によれば、パンかビスケットに乳飲料(牛乳入りのカフェかココア、ヨーグルト)を添えていた午後のおやつも、乳飲料だけに変更されるという。
給食回数削減対象となるのは市立保育所(市が場所を提供し、第三者が運営する所を含む)六六一カ所。朝食を削るか夕食を削るかは子供の着く時間で決まるというが、家が遠い子供や保育所以外では食事をしない(出来ない)子供は、栄養不足や体調の変化なども起こしかねない。
保育所の責任者の一人によれば、外注業者栄養士は、市役所から、子供達が肥満気味だから食事回数削減を決めたとの説明を受けたという。
これに対し、学校給食調査も担当した事のある、サンパウロ州立大学教授で栄養士のジオヴァナ・ペゴロ氏は、成長期の子供達は三時間毎に食事をする必要があり、必要な時間に必要な量の食事が取れないと、体が脂肪分を蓄えようとするために肥満が起こり易くなるとも警告している。
一方、市役所は子供の食費までケチるのかと不満をぶつける父兄もいる事に対し、担当者は、今年から保育時間が一二時間から一〇時間に減ったため、五食を提供する必要がなくなったと回答。外部団体経営の保育所六五一カ所では、四食の提供である事もフォーリャ紙が報じているが、保育所給食費が二〇%節約できるとあっては、経費削減が目的との声が出るのも止むを得ないようだ。
清掃夫三二七四人の失業とゴミの山を招いた清掃費削減後、ゴミ回収費削減の話も出ていたところに降って湧いた給食回数削減。市立校生徒の制服や学用品、粉ミルク配布を郵便局に委託し、宣伝費も増額など、税収減の実情と裏腹な政策をとりながら、貧困家庭幼児への給食回数削減に納得できない市民は多い。