ニッケイ新聞 2009年9月10日付け
式典に参加する機会が多い。ブラジル式の来賓全員の名を読み上げるスタイルや、知事らの紋切り型のあいさつにうんざりしつつも、面白さを見出すのが乗り切るコツだ。手作り感があっていいのは、やはり地方の式典▼〇五年の平野植民地入植九十年祭は、何と五時間にわたった。主催者側が少人数なので、司会と感謝状を受けるのが同一人物。マイクを太陽とすれば、衛星のようにグルグル回った姿がいまだに脳裏に焼き付いている。婦人部が作ったご馳走を横目に、空腹と暑さで眩暈を起こしかけたが、そこはマラリアで亡くなった移民が多いところ。グッとこらえた▼六日にアラサツーバであったノロエステ連合創立五十周年式典は、秀逸だった。音楽が静かに流れているのだが、司会者に名を呼ばれた来賓が、登壇する場面で音量をアップ。凝った演出ではあるのだが、何と白石一資会長、「粋な黒塀、見越しの松に~♪」と春日八郎の「お富さん」で登場した▼続く在サンパウロ総領事館の大部一秋総領事の登場テーマ曲は、何と植木等の「スーダラ節」。「ちょいと一杯のつもりで飲んで~♪スイスイ ス~ダララッタ スラスラスイスイスイ~♪」。軽快なリズムと困惑顔のコントラストが絶妙。贅沢を言えば、栄子夫人と一緒に泳ぐ格好をして欲しかった▼アラサツーバ市長や傘下団体の代表者は、水前寺清子の「三百六十五歩のマーチ」。これもワンツーパンチの振りが欲しい。選曲した担当者に拍手。惜しむらくは、振り付けも指導して欲しかった。式典は長い。だけど、分かっちゃいるけど、止められないのが地方の式典取材なのである。 (剛)