ニッケイ新聞 2009年9月9日付け
五日にアルゼンチンのロサリオで行われたワールド・カップ(W杯)南米予選で、アルゼンチン(以下、ア国)を3対1で破ったブラジルが二〇一〇年の南アフリカW杯出場を決めたと六日付伯字紙が大見出しで報じた。
南米の雄とされ、共にW杯常連国の伯アだが、勝てばW杯出場が決まるブラジルと、出場のため四位以内の枠を死守したいア国との試合は、両者の差が予想以上であった事をまざまざと見せつけた。
自国民の応援をより多くと考えたマラドーナ監督が、ブエノスアイレスのスタジアムより観客との距離が近いロサリオのスタジアムに会場変更させるなど、凄まじい執着をみせていた事もあり、四万人の観客の中で、ブラジル応援団が肩身の狭い思いをしながら始まった試合は、前半二四分に均衡が崩れた。
先制点を挙げたのはブラジルのルイゾン。フリーキックを頭であわせたシュートで先制し、流れに乗ったブラジルは、その後も果敢に攻め、前半三〇分にルイス・ファビアノが二点目を上げた。
一方、二点を先制され必死の反撃を試みるア国は、ブラジルの堅い守りに阻まれ苦戦。後半一九分、ダトロが強烈なミドルシュートで一点を返したが、その直後の二一分、カカーからのスルーパスを受けたルイス・ファビアノに駄目押しの三点目を許し、膝を折った。
爪を噛むなど試合中落ち着かなかったマラドーナは、メッシやテヴェスらは良くやったと誉めた上、敗戦の責任は自分にあると発言。混戦も予想される南米予選残り三試合にW杯への夢を繋ぐ。
一方、監督就任後、思うような成績が出ずに批判を浴びていたドゥンガは、自分が貫いてきた戦略は正しかったと記者会見。タレント揃いのチームに多い攻撃偏重型ではなく、好守にバランスの取れたチームを育ててきた事が、二二人中、W杯経験者八人というチームの勝利を招いた。
七月の南アフリカでのコンフェデレーション杯優勝に続き、一九回連続のW杯出場を決めたブラジルチーム。九日の対チリ戦には反則やケガで出場できないレギュラー五人の代わりに代替選手投入が必要で、ベテランのアドリアノや若手選手出場の期待も高まっている。