ニッケイ新聞 2009年9月5日付け
米政府は三日、ホンジュラス臨時政権が準備している十一月の選挙を承認しないことを表明、また三千五百万ドルの同国向けの人道支援を中止すると通告したことを四日付けエスタード紙が報じた。
セラヤ大統領とクリントン米国務長官は三日、ワシントンで会合し、同通告を決定した。米政府はセラヤ大統領支援を続行するが、同国の総選挙結果承認にセラヤ大統領の復権が必須条件とすることは、公式声明の発表を避け曖昧にした。
セラヤ大統領の失脚は、就寝中を襲った軍部が寝巻きのまま拘束し、国外へ追放したもの。その後、米政府の保証でコスタリカのアリアス大統領が仲裁に入ったが、セラヤ大統領の復帰を前提条件とする仲裁案を、臨時政権は拒否した。
米政府が、現状では総選挙の結果を認めないと米政府報道官が発表。合法選挙と認めるには、セラヤ大統領の復帰は議論の余地がないという。これはセラヤ大統領擁護ではなく、中米の民主主義擁護だとした。
資金援助の中止は、選挙否認への直接行動のようだ。次は臨時政権に対し、国際社会の圧力が加わる。また米上院には、セラヤ大統領はベネズエラのチャベス一派だという見方があるため、オバマ大統領は曖昧な部分を残したようだ。
米政府の措置は、ブラジルやメキシコ、チリなどのセラヤ抜き選挙を否認する国々へのジェスチャーともいえる。米政府の本音は、別の解決法を望んでいた。
ホンジュラスで行われた人権無視について、米政府は言及していない。同国の人道支援のため七千万ドルの資金供与の準備がある米国だが、ミチェレッチ臨時大統領が「米政府は、ホンジュラスをチャベスへ追いやる」と批判したことをホワイト・ハウスが気にしている。