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水野龍の功績振り返る=高知県=〃移民の父〃生誕150年=故郷・佐川町でパネル討議

ニッケイ新聞 2009年9月5日付け

 『ブラジル移住の父』と呼ばれる高知県高岡郡佐川町出身の水野龍(1859~1951年)の生誕百五十年記念事業がこのほど、同町甲の桜座で開かれ、約三百人がパネル討議などを通じ、ブラジルと日本を舞台に活躍した郷土の大先輩に思いをはせた。

 企画が持ち上がったのは、高知県人中南米移住を取り上げた高知新聞連載「南へ」(昨年一月~今年三月)がきっかけ。連載の中で、ブラジル在住の水野の三男、龍三郎さん(78)と静岡県在住の龍三郎さんの娘、レジアネさん(31)が紹介され、町民有志が「ぜひ龍の故郷、佐川町を案内したい」と発案。今年四月から同町と実行委員会が準備を進め、二人の来町が実現した。
 同町に到着した二人は生家跡などの町内の水野ゆかりの場所を町の案内で訪問。自由民権運動に参加した水野が演説したとされる名刹「乗台寺」や一九六二年に水野の功績をたたえ建立された石碑などを巡った。
 桜座ではまず、生前の水野を知る老移民の生活を描いた記録映画「ブラジルの土に生きて」を上映。制作したブラジル在住の映像作家、岡村淳氏が講演。
 続くパネル討議では「水野龍とは何者か」がテーマ。パネリストは龍三郎さん、レジアネさん、岡村氏に加え、尾崎正直高知県知事、ブラジル移民を兄に持つ高知市議の吉永哲也氏、水野が創設した日本初の喫茶店「カフェーパウリスタ」の元社長、長谷川泰三氏、NHKプラネットチーフプロデューサーの中根健氏の七人。
 岡村氏は「移民たちやブラジルのために何ができるかを常に考えていた」と水野が貫いた「共存共栄」の志を強調。長谷川氏は「水野は日本のコーヒー文化の生みの親。『銀ブラ』は銀座のパウリスタに一杯五銭のブラジルコーヒーを飲みに行くことが語源」と紹介。各氏がそれぞれの分野から水野の残した功績や人柄を振り返り、水野の人物像に迫った。(高知新聞提供)