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国産車、中味は中国製=冬季に入るブラジル自動車産業

ニッケイ新聞 2009年9月3日付け

 全国自動車工業会(Anfavea)のジャクソン・シュナイダー会長は八月三十一日、ブラジルの自動車史で初めて輸入車が車両輸出を上回る勢いにあることを明らかにしたと九月一日付けヴァロール紙が報じた。
 同会の最新見通しによれば、二〇〇九年度の車両輸出が四十四万台の予測であるのに対し、輸入は三十九万台。年末までには、輸出を追い越す勢いだ。ブラジルの自動車産業は、戦略的な新車開発の必要がある。
 近い将来に中国や韓国の自動車メーカーも対伯進出を果たし、ブラジルの自動車生産に加わる。ブラジルの自動車輸出が押された分は、過熱した国内市場で落ち込み分を挽回しようという甘えの構造があるようだ。
 外車の輸入と共に部品輸入も増え、自動車部品労組(Sindipecas)を苛立たせている。国内の自動車部品メーカーは、外車の部品代替に不合格品の山をつくり、競争力が劣ることを指摘されている。
 自動車部品は現在、主に中国から輸入する。これは、ブラジルの自動車業界全般に体質的問題があるからだ。長い間政府の過保護下で自動車生産に従事したので、慢心的経営に安んじたツケがきたようだ。
 ブラジルの自動車組み立て企業は、中国からの部品調達が価格と品質で有利と見ている。ブラジル部品メーカーの再教育など、考えていない。だから自動車産業の弱体化が、懸念される。
 自動車部品のコスト基準は、中国の相場で決められる。太平洋を越えてくる中国部品コストに対抗できないなら、ブラジルのメーカーは店閉めするしかない。政府に泣きついても、過保護はできない時代にある。
 ブラジルの大手自動車部品メーカーは現在、看板だけで生産は中国で行っている。為替条件もブラジルは不利なので、対伯輸出に集中攻撃をかけるアルゼンチンで部品を作らせているメーカーもある。