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ウナスール首脳会議=混迷を深めたのみ=異なる南米の未来像

ニッケイ新聞 2009年9月1日付け

 ウナスール(南米同盟)首脳会議は八月二十八日、加盟十二カ国の首脳を集め亜国バリローチェで開催されたが、米軍基地問題を巡って混迷を深めるに終わったと同二十九日付けフォーリャ紙が報じた。
 コロンビアは、米軍駐留は軍事目的ではなく同国内の麻薬対策であり、基地は自国が管理するのだから、国外の議論は内政干渉に当るという。ベネズエラのチャベス大統領は、パランケロ米軍基地が戦争を視野に入れた純然たる戦略的兵站基地であると位置付けた。
 キトー会議では主役であったルーラ大統領は今回、脇役に回された。会議に先立ったチャベス大統領との個別会談では、過激発言を避けるよう要請したが、本番は番狂わせとなったようだ。
 ボリビアとエクアドルは、コロンビア制裁を動議。ブラジルとチリ、アルゼンチン、パラグアイは、米コロンビア軍事同盟批判の立場を維持。伯亜両国は、Farc(コロンビア解放前線)対策には理解を示した。
 麻薬問題では意見が十人十色。コロンビアの見方では南米全体が麻薬に侵されつつあるという。これに対し、ルーラ大統領は、麻薬に侵されているのは先進国であって、南米ではないと反論。一方、亜国では大麻の個人使用は犯罪とは見なさないと決めたばかりだ。
 南米地域がどのような発展を遂げるかで、ブラジルは将来を読み間違えたようだ。チャベスは軍人、コレアは大学教授、モラレスは先住民代表、キルチネルは弁護士、ルーラは労組代表的な論評を展開した。
 アナリストらは今回の会議を、「それぞれが異なる見地で私見を語り、政治的論議がなかった。そのため南米という病人を、それぞれの医者が勝手に診断した。会議をまとめる共通点と次の会議につなげるものがなかった。ウナスール会議は、行く所まで行くしかない」などと分析した。
 ルーラ大統領得意のジョークは、ペルーのガルシア大統領が皮肉と毒気のあるジョークで代役をした。チャベス大統領が「今度はブラジルが、岩塩層下油田で米国の圧力を受ける番だ」と警告した。