ニッケイ新聞 2009年8月26日付け
マンテガ財務相と大統領府が二十四日、国税庁に政治介入を執行し前長官の息がかかった幹部職員を排除したことで、同職員十二人が国税庁に対しあるまじき介入に抗議の進退伺いを提出と二十五日付けフォーリャ紙が報じた。抗議運動は前長官の更迭に端を発したものだが、財務相は財務政策上の人事異動と弁明した。一方与党PT(労働者党)は、ロウセフ官房長官とリーナ前国税庁長官が個人会合の有無を巡って供述が異なり、大事に至る前に決着をつける委員会を結成と二十五日付けグローボ・サイトが報じた。
税収が落ち込んだことで財務相は、挽回のための税の取り立てを前長官に命じた。前長官は税務監査に多額の脱税を摘発できる大企業を選んだ。しかし、その中にサルネイ上院議長の子息フェルナンド氏経営の企業が、混在していた。
二十四日官報が前長官側近の副長官ら二人の更迭を公布。それ以前の打診と合わせ六人の更迭を財務相と政府の政治介入として、十二人の国税庁幹部が進退伺いのほか、他の職員も業務放棄と言い始めている。
PT執行部と大統領府は、官房長官がサルネイ一族の経営企業に対する税務監査停止を前長官に命じた会合の有無の解明は困難と見ているが、同件を放置すれば益々こじれる懸念がある。
大統領候補とされる官房長官のキャンペーンがこれから、日を追って激化することは、政府内の一致した意見。前長官の一挙手一投足が、悪影響を及ぼすことも明白。官房長官が罠に嵌らないため、作戦参謀としてベテラン政治家の戦略委員会を結成した。
サルネイ疑惑は倫理委員会で葬ったが、官房長官の防衛には権謀術数に長けた政治参謀の一団が必要と判断したもの。これは政治政策ではなく、駆け引きであってPTと連立党の役目だと大統領側近が助言した。
ルーラ大統領が、ロウセウ候補を誰にも相談せずに勝手に決めたことも問題だ。党の承認を得てない官房長官が、党内で占める場所は少ない。それは大統領自身がロウセフ擁護で矢面に立ったことが物語っている。リーナ前長官に会合の証拠を要求したことで、道理の域を越えたことが露見したといえる。
PTは、ルーラ抜き初めての選挙なので失策続きだ。官房長官には、ジルセウのような参謀や選挙の経験、党内の支持勢力もない。ガン治療のための化学療法と放射線療法後の休息さえ、十分に取れない状態だ。