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国際交流基金=西成彦氏講演会=「ブラジル日本人とカボクロ表象」

ニッケイ新聞 2009年8月25日付け

 国際交流基金サンパウロ日本文化センターは、京都・立命館大学教授の西成彦(にしまさひこ)氏による講演会「ブラジル日本人とカボクロ表象」を二十六日午後七時半から、同センター(Av Paulista 37 2andar)で開く。ポルトガル語通訳付き。
 西氏は、五五年岡山県生まれ。東京大学大学院で比較文学・ポーランド文学を研究。近著に「世界文学の中の『舞姫』」(みすず書房)がある。
 講演では、ブラジル百年の日本語文学を追いかけながら、「カボクロ物」の重要性を考える。
 戦前、南米を訪れた作家の島崎藤村がブラジル移民から聞いた「カボクロ」(当時、土人を意味した)という言葉の響きに「植民地」ならではの風情を感じたというエピソードに触れながら、ブラジル移民・日系人の経験を描きとろうとした文学は、「カボクロ」という表象を避けて通ることができなかったと見る。
 日本人の「同化」は、「成功」ばかりでなく、「カボクロ蔑視の克服」というもうひとつの課題への挑戦を意味したと論じる。
 講演に関する問合せは同センター(11・3141・0110)まで。