ニッケイ新聞 2009年8月20日付け
リーナ・ヴィエイラ前国税庁長官は十八日、上院で与野党舌戦の中、ロウセフ官房長官呼び出しを供述と十九日付けフォーリャ紙が報じた。官房長官が命じたサルネイ一族経営企業の税務監査もみ消しは、公務員規定により容認ならざるもので上層部の不当干渉に当ると、前長官は位置付けた。しかし、前長官は呼び出しを証明する証拠も期日も提示しなかった。前長官は「真実を語るのに、日程表は不要。いかなる脅しにも、真実が変わることはない」と証言、野党提案の官房長官との正面対決に応じる意向を示した。
国税庁前長官は「私の経歴にウソの上塗りはない」と断言、ルーラ大統領の証拠提示要求に応えた。呼び出しを否定し、前長官をウソつき呼ばりするロウセフ官房長官との直接対決も、受けてたつ意向を示した。
前長官の発言は、「更迭に対する反発でも政府機構への裏切り行為でもない。政府高官への返り咲きや大統領選を機に要職への復帰を企むものでもないし、政治に一石を投じるものでもない」と声明を発表した。
「誰からも圧力はかけられなかった。しかし、サルネイ一族の税務監査に手心を加えよとの命令は、手を引けということ。上司の命令におもねるのが、公務員の役目ということに違和感を覚えた」と訴えたようだ。
前長官を官房室へ案内した公用車の運転手と個別会合の用件を記録した職員の二人を、証人とする意向も示した。国税庁の幹部職員も、個別会合における前長官の供述を再認証した。
前長官は会合当日、国税庁の公用車で官房室へ赴き、駐車場で入庁を登録した。その後金属探知機で身体検査を行い、エレベーターで四階へ案内された。官房長官との面会時間がくるまで、長官側近だったゲーラ氏の部屋でコーヒーと水を男女一組とともに供された。
薄暗い官房室では、肩掛けをつけた官房長官が「国税庁総司令官のお出まし」といって迎えた。用件はサルネイ上議の重大案件とし、荒療治を要請して数分で終わった。個別会合は国税庁の公式予定になく登録もないので、個人的なメモとして記録。これが天下を揺るがすことになるとは、前長官も思わなかった。
前長官は、「私は幽霊ではない。官房室の監視カメラに撮影されているはず。それとも処分したか」と供述。駐車場の記録もあるという。しかし、大統領護衛室は国家の安全保障を理由に、一切の記録提供を拒んでいる。