ニッケイ新聞 2009年8月20日付け
国立大学法人滋賀医科大学・医学部看護学科・地域生活看護学講座の畑下博世教授と植村直子助教が七月二十一日から二十八日にかけて来伯した。
畑下教授らは、同大学で四年間日系ブラジル人女性の健康問題をテーマに研究を進める。妊娠、出産、育児のサポートの充実を目指す。
今回は、ブラジルの文化を知ることを目的に来伯。滞在中は日伯友好病院やサンパウロ大学看護学部などを訪問した。
自身米国に二年間滞在し、異文化の中で住みづらさを体験したという畑下教授は、「異文化の中で言葉などの困難を伴いながら妊娠、出産、育児を行うのは大変。その苦労を少しでも軽減させていきたい」と話す。
滋賀県では日系ブラジル人のサポートシステムが構築されていなく、通訳者がいるクリニックはあるものの数が少なく孤立していると懸念する。もっと行政サービスの活用を広めていきたいという。
植村助教は、「精神的なケアも含めた異文化看護がどのようにあるべきか示していきたい」と力を込める。今年、日ポ両語で看護マニュアルの作成も予定している。
畑下教授は、「日系人たちがどういう苦労を経て、今日のシステムを作り上げたのかに気が付いた。そこには住み易さがある」とブラジル訪問の感想を語った。植村助教も、「日系人のこの土地で築いてきた歴史、強い意志を感じた」と話していた。