ニッケイ新聞 2009年8月18日付け
その昔には「いどべい政治」の言い回しがあり、新聞や雑誌でもよく使ったものである。あの頃の政治家には資産家が多く、カネの使い方もかなり派手だし、好きな政界に入ったはいいが、屋敷がなくなり田畑もなく残ったのは井戸と塀だけを皮肉り、ある種の尊敬の念も含まれたいたように覚えている。故・藤山愛一郎氏などは典型といっていい▼ところが、近頃は偽装献金とか怪しげなカネの流れがマスコミを賑わし、何か不正が色濃いような印象を与える疑惑ばかりである。民主党首脳の鳩山・小沢両氏も極めて灰色に近いように見えるが、全てが秘書の責任かのように処せられているのはどうも頂けない。こんな摩訶不思議な雰囲気に包まれての衆院選である▼各党の政権公約は賑々しくも華やかであり、これを固く信じればー世の中は明日から天国になる。が、守られたことがないのも、「マニフェスト」なのである。世の動きは自民党離れが目立ち、民主党圧勝の観測がしきりである。民主党はもう天下を取ったかのような振る舞い、一方の自民党は、戦う前から敗戦ムードの気分が漂って元気がなく真に情けない▼民主党は消費税や給油活動などの議論は避けているし、財源の裏付けも曖昧模糊。自民は「世界トップクラスの所得」と威勢のいいのが財界などから高い評価を受けているけれども、はて本当に実現するものかどうか?である。ただ一つ。民主党の「官僚よさらば」を掲げての事務次官会議の廃止や予算編成の政治家主導は認めたい。と、きょう8月18日は総選挙の公示の日である。 (遯)