ニッケイ新聞 2009年8月14日付け
シダーデ・リンパ(きれいな町)売り物の市長が汚れた町を放置する気か―こんな市民の声で終る記事が十三日付フォーリャ紙に掲載された。
税収減に泣くサンパウロ市が、粗大ゴミ収集や道路掃除にかける経費の二〇%削減などを打ち出したことを受けたもので、それでなくても苦情の多い清掃サービスの質が更に落ちると、清掃会社や市民が危惧感を抱いている。
金融危機後の税収減は事ある毎に言われているが、〇八年立案の予算では二九〇億レアル見込んだサンパウロ市税収額は、今や、「二四〇億も入れば御の字」と言われる程。落ち込み額に見合う経費節減は必至となった。
そこで出て来た節減対象の一つが清掃費で、粗大ごみ収集費三一五六万レアル、道路掃除費二億六〇三〇万レアルの内、二〇%相当の五八四〇万レアル削減が決まった。
その他にも道路や疎水整備費七〇%削減などがあり、〇九年着工予定の工事は一〇年に先延べなどの処置も採られる。
カサビサンパウロ市長は、これらの予算削減は、バス料金凍結など、〇八年の市長選挙での公約維持のためというが、予算作成時には予想もしなかった税収減に泣かされた一つが清掃業という事だ。
税収減の清掃関係への影響は、清掃会社への不払いや契約内容と違う仕事の要求となり、一月の市内北部、四~五月のセントロの清掃夫ストなどにも繋がったが、今後は更に、清掃回数減少、清掃地域縮小という形で返って来る事になる。
一方、清掃費削減前から、清掃夫が来ないから自分で掃除しているという市民らは「自分が掃かなきゃ誰も掃いてくれない」との声も出ている。
禁煙法施行で路上喫煙者が増え、吸殻が目立つようになった店先などでは、公共の場のごみ放置による罰金五〇レアルが嫌で掃除するという所もあるが、本来なら、投げ捨てをした人こそ、公共の場を汚したことによる五〇〇レアルの罰金適用を受けるべきところだ。
粗大ゴミを含む路上のごみは景観を損なう上、雨の季節の洪水が増えると懸念する人も多い中での清掃費削減。サンパウロ市では、三五〇〇人の清掃夫が毎日、三〇〇トンのごみを集め、六九〇〇キロの道路を掃除している。