ニッケイ新聞 2009年8月14日付け
政府が上院議長への告発攻勢を押し留めたことで油断した隙に、野党がリナ・ヴィエイラ国税庁前長官の召喚を上院憲政委員会(CCJ)へ申請し、十二日に受理されたと十三日付けゼロ・オーラ・サイトが報じた。
これは、同前長官が、サルネイ一族の関係企業への会計監査で不正が表面化しない内に手を打つよう、ロウセフ官房長官から指令されたとフォーリャ紙取材に答えた内容を、上院でも証言するよう要請したもの。
CCJは十二日、連立与党のPT(労働者党)とPMDB(民主運動党)委員不在のため、野党委員の絶対多数で、十八日召喚との申請受理。召喚受理の決定を聞いたPTとPMDBの上議は、ようやく一段落した告発騒ぎを再度蒸し返すものだと抗議した。
前長官は七月、マンテガ財務相との連絡不足によって国税庁から更迭された。フォーリャ紙は当時、同前長官と記者会見を行い、政府内の紛争を報道した。野党は同報道を基に同前長官を召喚し、上院抗争を繰り広げることを通告した。
野党は何故、前長官召喚にこだわるのか。リナ・ヴィエイラ氏は昨年七月、国税庁長官に就任。それから僅か十一カ月後、財務相に断りなく、ペトロブラスが経理操作により脱税を図ったとして四十三億レアルの罰金を科し更迭された。
この罰金と更迭に、野党が目をつけた。ペトロブラスCPI(議会調査委員会)は、多数派の与党勢により罰金と長官の召喚をもみ消した。
ところが、前長官はロウセフ官房長官から呼び出され、サルネイ一族の不正が暴かれないように指令されたことをマスコミに洩らした。そのため国税庁は、サルネイ関係企業の不正隠蔽工作のグループを組織した。
官房長官は、前長官の呼び出しも不正看過を指令したことも否定した。CCJは事実確認のため前長官を召喚し、上院で本人の口から証言してもらうことにした。