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ウナスール=米大統領交えて再開=南米同盟は烏合の衆か

ニッケイ新聞 2009年8月12日付け

 ウナスール(南米同盟)首脳会議は十日、ベネズエラとエクアドル、ボリビアによる挑発発言の後、ルーラ大統領がオバマ米大統領を招き加盟十二カ国首脳と共にコロンビアの米軍基地その他について南米の安全保障を討議することを提案したと十一日付けフォーリャ紙が報じた。
 チャベス大統領が「コロンビアの米軍基地は宣戦布告であり、悲劇の予告だ」と発言。コレア大統領は「米軍基地が内政問題なら、核保有も内政問題か。まして米軍が介在するなら、地球規模の問題だ」と。モラレス大統領は「コロンビア国民を米軍の魔手から守れ」と訴えた。
 ルーラ大統領は「いつかウナスールと米国は、南米や南大西洋、第四艦隊について折り入って話し合う必要がある」と考えていたという。これを機会に、米国への不満を明らかにする考えだ。
 次回ウナスール首脳会議には、コロンビアのウリベ大統領も是非出席してもらう。キトーでの首脳会議には険悪な雰囲気が予想されたので、同大統領は欠席した。
 ウナスール加盟国同士に信用と誠実がないなら、仇同士の集まりになる。キルチネル亜大統領は、中立的立場の同国で次回首脳会議を開催すれば、ウリベ大統領を異端審問で裁くようなことはないと助言した。
 米政府報道官は十日、ウナスール会議で論議しているレベルの米軍基地をコロンビアに設置する考えはないと再度発表。オバマ政権が南米のために考えているのは、遥かに壮大な構想だという。
 国際問題の専門家によれば、各国のウナスールへの意識には隔たりがある。ボリバリアノスを任じるアンデス諸国は、ウナスールは米国に対抗するための組織と認識しているが、ブラジルは対米対話連合と思っている。
 しかし、米軍が基地建設などの形で南米圏に参入するなら、国毎の認識の違いを超えた一致が必要だ。また、ウナスール条約には、地域合意による決定の項がある。決定合意に努めない不毛の議論は、ご法度なのだ。
 今回首脳会議を収穫のないまま終了したのは、見解の相違だけではなく、チャベス大統領らへの配慮も原因であったようだ。ルーラ大統領はなるべく早くウナスール首脳会議再開というが、チャベス大統領への手前を慮りながら、オバマ米大統領との意思疎通を図るのは困難だと思われる。