ニッケイ新聞 2009年8月12日付け
ブラジルの福祉事情や生活習慣、環境都市計画などを学ぶため日本の淑徳大学(千葉県千葉市)が毎年実施している研修制度で、今年も八人の学生が来伯した。来月十二日まで滞伯、日系人家庭でホームステイをした後、パラナ州マリンガ市やクリチーバ市などで、障害者やスポーツ環境など、各自のテーマで研修にのぞむ。
同研修は今年で二十四回目。研修生はじめ、同大客員教授の佐々木陽明さん(浄土宗南米開教総監)、引率の忍田直之さん(事務局)が六日に来社し、抱負をのべた。
来伯したのは、社会福祉学科四年生の藤堂麻衣さん、郭保竹さん、三年生の小野塚早紀さん、豊島優希さん、二年生の小木絵里奈さん、人間環境学科三年生の多田拓司さん、梶山玲奈さん、重城裕紀さん。
生まれつき聴覚に障害をもつ豊島さんは障害児教育の教員を目指している。「いろんな人に支えられ本研修に参加でき、自信に繋がりました。ブラジルでも感謝の気持ちを持って頑張りたい」と語った。
中国からの留学生である郭さんは、来日後日本語学校と専門学校に通い幼稚園と保育士の免許を取得した。「ブラジル、中国、日本の三カ国の幼児教育を比較してみたい」という。
小学校の教員を目指しているという梶山さんは、国際理解教育に興味があり、オリジナルの授業を組み立てたいと話す。「ブラジルでは〃淑徳〃だから出来ることに挑戦したい」と意気込む。二〇一〇年冬にはボランティアとして小学校で国際理解教育の授業を、ブラジルを題材として行う予定だという。
今年度の研修は二日から九月十二日までの四十二日間。佐々木総監は、「ブラジルでポ語が出来なくても日本人が信頼されている理由や、子供の教育などを見て欲しい」と語った。事務局の忍田さんは「実際の体験を日本に持ち帰り、日伯の掛け橋になってほしい」と研修生へ言葉を送った。
淑徳大学が開学したのは六五年。初代学長の長谷川良信氏は五四年に南米浄土宗別院日伯寺を開いた人物であり、サンパウロ市イタケーラ区の「こどものその」の前身、「子供の園」の創立者としても知られる。同研修制度は長谷川氏の福祉への志を学ぶことを目的として、八六年から行われている。