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失業者の就労支援を=愛知県=知立市・林市長に要請=日系人と日本人が共に

ニッケイ新聞 2009年8月11日付け

 【愛知県知立市発】知立派遣村実行委員会(高須優子代表)は七月二十三日、知立市役所で林郁夫市長と面会し、失職者の生活保護及び就労支援に関する要請を行った。同実行委員会は四月から知立団地等で相談を受け付け、生活保護申請やハローワークでの失業保険申請の援助をしてきた。

 要請事項は、生活保護の申請を受付ける福祉課の緊急増員や相談窓口の拡充といった市役所の整備、雇用の創出・拡大、税の減免や就学援助等の生活支援、病院などの施設へ付き添いできる通訳の配置と増員、保育や教育のきめ細かな対応と多岐にわたった。
 また、これまで生活保護の申請にあたって原則認められていなかった自動車の所有を、就職に不利にならないよう配慮することを求める具体的な提案もあった。
 要請には高須代表のほか、ボランティア九人が立ち会ったが、中には派遣切りにあい各地で派遣村などの活動をしている日本人二人、求職中の日系ブラジル人三人もいる。
 話し合いの中では、その日食べるものさえない窮状や、各自治体や施設の対応の不手際・不親切、市役所担当者の極限の疲労なども具体的に挙げられた。
 参加した屋良マルコスさん(40、三世)は「日本語教室は期間限定だし、通っても入門や初級しかない。話せるけれど書けない外国人はたくさんいる。これでは履歴書が書けるようにはならない」と日本語教室の現状を訴えた。
 市からは、林市長、蟹江市民部長、毛受(めんじょう)福祉子供部長が対応し、訴えを聞いた。
 ハローワークや近隣市との動きを待つのではなく積極的に働きかけることを求められると答えに詰まる場面もあった。
 回答は書面で行われるため、同委員会は八月半ばまで待つという。
 今回の要請について、日本人の参加者神尾慎二さんは「あまりブラジル人と日本人が一緒に活動することはない。珍しい」と感想を口にした。
 派遣切りにあった日本人は独身が多いが、外国人では家族持ちが多い。また仕事を探す際にも日本語ができるかどうかのスタートラインの違いのため、悩みを打ち明けあっても、理解し合えないことがあるという。
 「これまで同じ職場でも『ニッケイサン』て何?と思っていたのが、どうしてこんなに日本にいるのか知るきっかけになった。仲良くなった友達もいる」と日系人への意識の変化を話した。(秋山郁美通信員)