ニッケイ新聞 2009年8月6日付け
三十一回目を迎えたカルモ公園桜祭りが二日、サンパウロ市の同公園桜園で開かれた。聖東地区を中心とした十四日系団体により実施されている同祭り。好天に恵まれ、今年も終日大勢の人で賑わいを見せた。国内有数、千五百本が植えられている同桜園。開会式でジルベルト・カサビ市長は、来年さらに三千本の桜を植樹する計画を発表、「カルモの桜園を日本国外で最大のものに」と目標を掲げ、市がバックアップしていく意向を示した。
今年は地域日系団体によるカルモ桜イペー連盟(矢野ペードロ会長)が主催。一週間前から続いた長雨も開催前日は晴れ、祭り当日は汗ばむような陽気に恵まれた。
開花時期を調整したヒマラヤ桜、雪割り桜は、雨の影響ですでに散ったものもあったが、まずまずの咲き具合。花びらの舞う中、訪れた人は食事や記念撮影など思い思いの時間を過ごしていた。
カルモの桜は一九七七年、移民七十周年を記念して同地の片岡久義氏、松原勝利氏などが中心となって植樹が始まった。
三年後から現在の桜祭りを開催。土壌や品種、病気など幾多の困難を乗り越え、今では千五百本の桜と五百本のイペーが植えられ、サンパウロ市のみならず国内有数の桜の名所へと成長した。
九五年の日伯修好百周年では、紀宮さま(当時)がイペーを植樹。昨年六月には移民百周年を記念して、日本の彫刻家絹谷幸太氏によるモニュメントが皇太子さまご臨席の下で落成している。
午前十一時過ぎから行われた開会式には、カサビ市長、大部一秋総領事夫妻、飯星ワルテル連邦下議ほか、池崎博文リベルダーデ文化援護協会長、地元日系団体代表、市議など多数の来賓が舞台に上がった。
年々規模を拡大している同祭り。矢野会長は来賓、関係者、来場者らへの感謝とともに、「すばらしい文化遺産を私たちに残してくれた先人のおかげで、この祭りが開催できる」と称えた。
初訪問の大部総領事はあいさつで、「日本のシンボル桜とブラジルの花イペーが植えられたカルモ公園は、日伯友好の象徴。これまで苦労されてきた人たちに敬意を表したい」と述べた。
この日は羽藤ジョージ、神谷牛太郎の両日系市議を含む四人の市議、環境局長が出席。市の同公園への関心の高さを感じさせた。
カサビ市長は、来年に向けさらに三千本の桜を同公園に植える計画であることを発表。「カルモの桜園を日本国外で最大のものにしたい」とし、さらに「日系だけでなく、全ての民族コミュニティが集まれる場所に」と位置付けた。
市長はまた、前身のカルモ公園桜イペー植樹委員長として長年桜の成長を見守ってきた西谷博さん(現名誉会長)の功績を称え、会場全体から大きな拍手が送られた。
鏡開きがセレモニーの最後を飾り、その後広場ではしゃんしゃん傘踊りや歌謡ショー、地元団体による舞踊など様々な演目が披露され、夕方まで賑わった。
リハビリ中のため車椅子で訪れた西谷さんは、「桜園が、永久に日伯交流をはかる大事な境になることを夢見てやってきた。それが実現しました」とカルモの桜、桜祭りの成長に感無量の表情を見せていた。