ホンジュラス=セラヤ復権に失敗=中南米の将来に懸念の雲
ニッケイ新聞 2009年7月28日付け
ホンジュラスから追放されたセラヤ大統領が二十四日、国境の陸路強行突破を試み失敗した。
二十五日付け伯字紙によれば、ヒラリー米国務長官は「無謀」と批判した行為だが、十五日付けヴァロール紙によれば、臨時政権が十一月二十九日の総選挙まで政権に留まり、交渉解決の場を拒否するなら、ホンジュラス・クーデターに対する中南米諸国の見解は二分すると憂慮されている。
中南米政権は現在、同国が違法手段によって現職大統領を拘束して追放し、ミチェレッティ大統領による臨時政権を擁立したことを糾弾する姿勢で一致している。臨時政権は総選挙が行われるまでの暫定措置だとした。
しかし、十一月の総選挙は臨時政権の意向のもとで行われることへの各国政府の反応が問題だ。同国の政情が正常化しないかぎり、一部政府は同選挙を正当視しないし、当選者を容認しない。
これは、話合いを拒否するミチェレッティ臨時政権の副作用といえる。 国際社会の中には、国際監視団のもとで清廉潔白な選挙を行うなら、正式な大統領として容認するもやぶさかでないというのもあるが、中南米各国では、違法手段により獲得した政権に、選挙を委ねる気は全くない。二十四日のメルコスル首脳会議でも、臨時政権下での選挙結果は認めないとの声明を発表している。
OAS(米州機構)はセラヤ大統領の復帰を前提条件に、新政権否認などの政治制裁解除を考えている。暫定政権は、外圧に対し譲歩の様子がない。OASの定款には、新政権に対する経済制裁適用の規定はないが、加盟各国が経済制裁を実行する可能性は十分ある。
十五日付けヴァロール紙によれば、ブラジル政府は既に、同国との間に進行していた軍事援助や金融支援、基幹工事を中止しており、セラヤ復帰が叶わない場合、他の加盟国も同国とのプロジェクト見直しを図ることを期待している。