ニッケイ新聞 2009年7月25日付け
不動産業協会のエルビオ・F・メーラ会長は二十三日、金融危機で昨年九月から経済情勢が悪化する一方、不動産市場は皮肉にも躍進を続けたことを明らかにしたと二十四日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。政府の「マイホームは私の人生」キャンペーンは、不思議に時宜を得た。不動産業界は建材の減税が実施されるなどで、ちょっとしたブームを引起こした。政府の簡易住宅建設は、数々の相乗効果をもたらした。
政府による建材減税などの不況対策は、不動産業界に建築ブームを引起こし雇用を生み出すなど、一定の効果をもたらしたと同会長はいう。不動産業界は不況対策前、四百二十八億レアルの取引が行われていた。それが一気に七百九十三億レアルへ飛躍した。
これはキャンペーンが、三百六十五億レアルを業界に投じてくれたようなもの。そのお陰で不動産業界は、物件在庫や不動産購入へ稀に見る大きな資金が動いた。
不動産業界の将来は、CDEクラスの簡易住宅建設が決め手のようだと同協会は見ている。ACSP(サンパウロ州商業連盟)のアレンカール・ブルチ会長は、建設業界は千客万来の雇用本家でもあることを強調した。
不況対策の余禄はまだある。今年取引が成約された物件数は、建設を発表した戸数を六一%上回った。政府の計画は、業界の保険コストを下げるのに役立った。政府プランは、次の政権当事者が投資を縮小しないため短期計画で終わらないように配慮すべきだ。
政府とメーカーは、どこに宝の山があって、どこを掘ればよいかを発見した。それが簡易住宅だ。不況対策はその他に、その関連機関へ数々の便宜をもたらした。
例えば、連邦金融公庫(カイシャ)は、融資申請の手続法を改善し、不動産登記や環境許可などを容易にした。また、州や市も物件の建設や販売で政府の不況対策に前向きの協力をした。
ブラジルの不動産市場は非常に広く、進展の余地が十分ある。簡易住宅に要した建築費用は、一戸あたり二百四十一レアルであった。EUでは、千六百七十三ドルもかかっている。
サンパウロ州の住宅需要は、大きい。簡易住宅は希望者が住むばかりでなく、貸家用に購入する人も多数いる。金利が下がりつつあるので、投資はこれから簡易住宅建設に向うと同協会は見ている。
政府の「マイホームは私の人生」キャンペーンは郊外ばかりでなく、大口投資を呼び込むためインフラの揃っている都心での住宅建設も考慮すべきだと同協会では進言している。